冬のはじまり
『これが食べたくなると冬だなーって思う笑』
Xで肉まんの写真と共にツイートする
タイムラインに自分のツイートが流れた事を確認しながら手の中の肉まんにかぶりつく
はふはふとしながら食べると肉まんからの湯気と自分の息が白く空気に溶ける
行儀は悪いが食べながら歩く
(今日は一段と寒いなぁ)
肉まんが入っていた袋をクシャッと潰し、コートのポケットに突っ込む
寒くなると食べたくなる肉まん
今年もたくさん食べるだろう
どうすればいいの?
突然なイレギュラーに「どうすればいいの!?」とパニックになってしまう私に彼はいつも穏やかに言う
「大丈夫、焦らなくていいんだよ
深呼吸してー」
彼の掛け声に合わせて深呼吸をするとだいぶ落ち着く
「ありがとう」
「どーいたしましてー」
私のお礼に間延びした返事にクスッと笑ってしまう
私達は今までもこれからも助け、助けられて生きて行く
キャンドル
子供達を寝かし付け、ようやく自分時間が訪れる
(今日は寝かし付けに手こずったな…)
んー、と腕を上に上げて伸びをする
背中や腰が鳴ってだいぶ凝っていた事を自覚する
リビングテーブルに癒しセットを入れているケースを持ってくる
椅子に座るとケースから小皿とアロマキャンドル、マッチをテーブルに出して小皿にアロマキャンドルを乗せる
マッチでキャンドルに火を付けるとラベンダーの香りが鼻をくすぐる
「よし!」
気合いを入れると日記帳を取り出し、日記をつける
好きな香りを楽しみながら1日の振り返りができるこの時間が癒しだ
秋風
「だからってありえないわ!!」
バンッとテーブルを叩く音と女性の怒鳴り声に思わず振り返ってしまう
「あーぁ、おしどり夫婦って言われるぐらい仲良かったのに…」
「あの2人にも秋風がたったね…」
隣に座る友人とそんな事を話す
どんなに仲が良くてもなにかのきっかけで亀裂が入る事もあるだろう
その亀裂が修復するのか深くなるのかはお互いの言動によるだろう
脳裏
何かを新しく始める時に必ず脳裏によぎる言葉がある
それは『お前には出来ない』だ
呪いの様なこの言葉から開放される時は一体いつなんだろう