未来への船
今まで舵を取ってくれていた両親から引き継ぎ、自分の手で舵を取る
初めての舵取りにドキドキする
これからどんな事があるかわからない
荒波に襲われるかもしれない
強風に吹かれるかもしれない
でも、どんな事があっても握った舵は離さないと決めている
ーーーーー
ただ君だけ
「君だけだよ」
彼氏にそう言われるのが嬉しかった
誰にでも言っている言葉だとわかっていても…
「ねぇ、それって本当に幸せ?」
行きつけのお店で知り合った飲み友の春木くんに聞かれて何も言えなかった
だって、幸せかなんてわからないから
「こんな時に伝えることじゃないのは解ってて言わせて」
そこで言葉を区切った春木くんはゆっくりと私の手に自分の手を重ね、真剣な眼差しで見つめてくる
「薄っぺらい言葉で貴女を縛る男が許せない
そんな男は捨てて、俺に乗り換えて」
言葉はチャラいが彼の私を想う気持ちが伝わる
彼はパッと手を離すと飲みかけのお酒に口を付けた
「俺はただ君だけを想うよ 」
伏し目がちに呟かれた言葉
それが彼氏に言われるほど嬉しかった
(あぁ、私は彼に落ちていたんだ)
そう実感した時だった
静かなる森へ
自宅からバスで40分ほど行った先に散策が楽しめる森がある
ある程度 整備された散策ルートを歩き続けた先に見晴らしのいい場所に着く
そこはレジャーシートや備え付けのテーブルと椅子に座ってお弁当を食べる人達が沢山いる
その場から少し離れると木々の間から木漏れ日が差し込む場所が見える敷き、持ってきたおにぎりと水筒を出してゆっくり楽しむ
「はぁ、癒される…」
静かな森でのんびり心を癒し、また仕事を頑張ろうと心に決める
届かない……
どんなに想っていても彼女には届かない
それでも想い続ければいつか叶うと思っていた
この時までは…
「晶、私 結婚するんだ!」
「え…」
想い人からのその言葉に俺は固まった
氷水を頭からかけられたように身体の芯から冷えてカタカタと身体が震えるのを堪えきれなかった
「そうなんだ!
良かったじゃん!」
何とかそれだけ絞り出すが、ちゃんと笑えているか自信が無い
その後 何を話したのか全く分からないけど、気が付けば自室に居た
(千弦姉ちゃん、結婚するんだ…)
ようやく現実を理解できた俺はその場で泣き崩れた
赤子のようにわんわん泣いて、気が付けばラグの上で蹲っていた
痛む身体を引き摺るように洗面台に行き、鏡を見ると真っ赤に腫れた目の俺が映っていた
(初恋は叶わないって本当なんだな…)
そう思うと自嘲気味に笑い、冷水で顔を洗う
腫れて痛い目に冷たい水が気持ちいい
想い続けても届かない事もあると知った時だった
木漏れ日
大雨が降った翌日、学校を抜け出して裏山に行った
木々が立ち並ぶそこは居心地の悪い学校や家とは真逆の居心地のいい場所
そんな居心地のいい場所の中でもお気に入りが木々の間から木漏れ日が降る場所
そこに持ってきたレジャーシートを敷いて寝転がる
目をつぶり自然の音を聞いて楽しむこの時間が1番 好きだ
ラブソング
カラオケに行くと必ず歌うラブソングがある
それは私の十八番であり、青春が詰まっているから恋をしていなくてもよく聞く
今までも、これからもずーと私の十八番であり続ける
そんな気がしつつ、今日もカラオケで大熱唱する