NoName

Open App
9/18/2024, 1:06:37 AM

花畑

「1番 記憶にある花畑ってどんなところ?」

そう聞かれて思い浮かぶのはどんなところだろう?

「私はネモフィラかなー」

「うちは向日葵!」

「どっちもいいねー!」

友達同士で話が盛り上がっている

「チセは?」

ワクワクと興味津々でこちらを見る友人達に作り笑いを浮かべる

「花畑ではないけど、桜並木かな」

「おー、桜もいいねー!」

「春って感じ!」

何とか空気を壊さずにすんだとバレないようにため息をつく
彼女達には言えなかった母との唯一の思い出
ネモフィラが咲き乱れるあの場所の事
誰にも教えたくなった

9/16/2024, 10:01:55 AM

君からのLINE

ピコン!と軽快な音が聞こえると勢い良くスマホを見る

「なんだ…」

公式LINEに落胆する
君からのLINEはいつ来るのか…
待ってるこの時間はドキドキワクワクする

9/12/2024, 1:49:01 PM

カレンダー

部屋の中で1番目に付く場所に壁掛けカレンダーを置いている
カレンダーを新しい月のページにする時、毎月 必ずする事がある
それは毎週火曜日に赤い丸をする事

「今月もそれやってるの?」

「俺のルーティンだからね」

キリッとキメ顔で言う俺に彼女は笑う

毎週火曜日それは彼女の定休日であり、俺と彼女が出会った曜日でもある

9/8/2024, 11:33:53 PM

踊るように

「花びらが落ちる姿って踊ってるみたいだよね」

「おー、君にはそんな風に見えるんだね」

「うん」

同じ景色を見ていても見る人が違うと見え方も違う
それを知った出来事だった

9/7/2024, 9:48:15 AM

時を告げる

ピッピッ…ピッ…ピッ…
一定に鳴っていた電子音が段々と音の鳴る間隔が長くなる

「あなた、今までお疲れ様でした」

愛しい彼の手を繋ぎながら労いの言葉をかける

「いつまでも愛していますよ…」

愛の言葉を伝えるとピーと長く鳴る電子音
その後に担当医から「ご愁傷さまです」と伝えられ、頭を下げられる
私は子供のように泣き喚いた

Next