高く高く
一軒家の前、1台の軽自動車がようやく停められるような広さしかない駐車場で1人 シャボン玉を楽しんでいた
強くも弱くもない風が吹く夕暮れの空に自分が吹いて作ったシャボン玉が浮かんでいく
浮かんで屋根を超える前に弾けて消える姿を見て「なんて儚いんだろう…」と思ってしまう
(高く…高く高く浮かんで…)
そんな気持ちを込めて息を吹く
私の気持ちを汲んだのか、上手く風に乗ったのかシャボン玉は屋根を超えた
(今度はもっと高く飛んで)
ココロオドル
心が踊る時っていつだろう?
新しい服を着た時
綺麗な空模様を見れた時
虹を見た時
色々あるけど、1番 心が踊るのは…
恋をした時
星座 過ぎた日を想う
11月も終わりに差し掛かった頃、月が存在を主張している時
防寒対策をしっかりして外に出た
マンションの屋上に行くとコンクリートの上に寝転んだ
「今年も綺麗だな…」
空を見上げると思わずオリオン座を探してしまう
『見つけた!!私の勝ちー!』
彼女の声が聞こえた気がして思わず起き上がって辺りを見渡してしまう
「いるはずないよな…」
自嘲気味に笑ってしまう
星座が好きな彼女に教えて貰いながら空を見上げる時間が癒しだった
そんな事を思い出しながら今は1人で空を瞬く星を見る
踊りませんか? 巡り会えたら
仮面舞踏会に興味本位で参加した
ウエイターから適当にお酒を貰うと壁際に立ち、少しづつ飲んでいた
「かっこいい人、私と一緒に話しませんか?」
突然 声をかけてきたのは金髪に目元を覆うような仮面を着けている
仮面の隙間からチラッと見えた碧眼がとても綺麗な人だった
暫く談笑を楽しんでいるとダンス曲が流れた
「私と1曲いかがですか?」
手を差し出すと彼女は俺の手を取ってくれた
楽しく踊る
踊った後にまた雑談ができると思っていたが、彼女は俺から離れて行った
彼女の背中を思わず追いかけてしまった
「あの!!」
「どうかされましたか?」
振り向いてくれた彼女
声をかけたものの何を話すか決めていなかった俺はどもってしまった
「また巡り会えたら…
一緒に踊ってくれませんか?」
「是非」
女性からダンスに誘うのはタブーとされている中、彼女からの誘いに俺は直ぐに了承した
俺の返事に彼女は微笑んでその場を離れて行った
奇跡をもう一度
年下の推しと結婚した私は友達や知り合いに『奇跡だね!』と言われてた
夜 推しと同じベッドで推しに抱き締められながら寝て、朝は目が覚めると推しの寝顔が見れる
こんな生活、奇跡としか言えないと私も思う
「ちぃ」
「何?」
ニコニコと楽しそうな笑顔で近付いてくる彼に洗い物をする手を止めて、顔を上げると後ろから抱き締められた
「大好き!」
「ありがとう
私も大好きだよ」
彼に軽く身体を預けて甘えると嬉しそうに笑う彼が可愛くて仕方がない
奇跡をもう1度 貰えるなら彼との子供が欲しい