「変わらないものは、何もないんだよ」
「そっか……」
「俺たちの関係だって。いつかは終わるものだったんだ。悲しいけど……」
そして君は出て行った。
せめて楽しかった2人の思い出は、胸にとどめておきたい。
ガランとした空間に、2人で過ごした日々のかけらが漂っていた。
【変わらないもの】
「お前、ほんとに釣りに行くのか?」
「うっせえなあ、俺がどんなクリスマスの過ごし方をしても、勝手だろ!?」
俊彦は訴えた。
「そりゃそうだけど、何も船まで借りなくたって……。」
「この時期じゃないと、釣れない魚があるんだから、仕方ないだろ!?」
「わかったわかった。じゃあ、この子には忙しいって返事しとくな?」
「な!……ちょっと待て! それを早く言えって! 今どこにいるんだ?」
【クリスマスの過ごし方】
「ここは、夢と現実の間の世界。」
鏡は言った。
「え?」
「あなたがこうなりたい、と思った方向に、私は導く。例えそれが、マイナスのことでも。」
「どういうことだ!?」
「こうなりたくない!と願えば、なりたくないというその思いを、強く受け取ってしまう。だから、こうなるといいなという、イメージを大切にしなさい。」
「なるほど、イメージか……」
明須海は、手にした鏡をもう一度見た。
【夢と現実】
「冬のはじまりだね。」
照花は言った。
「そうだな。」
目の前の鮎川からは、白い川霧が立ち込めている。寒い朝は、いつもこうなる。
コンビニで買ったコーヒーを飲みながら、俺は1人感慨にふけった。
ほんの一年前まで、俺は自分が神社を継ぐことなんて、まったく考えていなかった。
【冬のはじまり】
「愛情?そんなもの、あるわけないだろ。」
「強がるなよ、お前……。あの子がいなくなってから、自分がどんな顔してるのか、見たことあるのかよ。」
「え?」
「しみったれた顔しやがって。迷惑なんだよ!」
「なに?!」
「悔しかったら、ちゃんと自分の気持ちを伝えてみろ!!」
「……!」
【愛情】