どこにも書けないことは
どこにも書けないから
どこにも書かない
言葉が胸の内で燻ろうと
静かに蓋をする
言葉として存在できなかった思いが
人知れず消えていくまで
静かに
言葉よ、眠れ
時計の針が進む
愛情いっぱいの子供の頃から
時計の針が進む
壊れていく家庭をなすすべもなく見送り
時計の針が進む
生きることの幸せを一人静かに問う
時計の針が進む
答えを見つけるために
時計の針は今日も時を刻む
溢れる気持ちにどのような言葉を宛てようか。
──誰が読んでもわかりやすい言葉。
──人に理解されずとも自分の気分に相応しい言葉。
あぁ、もっと他に候補があったはず。
文章を作る時いつも悩まされるのに
それすらも楽しいと思う自分がいる。
この溢れる気持ちを何と名付けようか。
愛だの恋だの
ヒト科の言うところの子孫繁栄に伴う感情は未だにわからない。
わからないが、この世界には確かにそういったもの達があるらしい。
それらはいつ、我が身に降りかかるのだろうか?
それとも一生降りかからず
「あぁ、そんなものがこの世界にはあったようだ。」と、思うだけに留まるのか。
明日の我が身など誰にもわからない。
わからない。わからない。
わからないだらけに囲まれて生きているのがヒト科の定めなのだろうか。
そこまで思い至ると、直ぐに「NO」の文字が現れた。
ふむ、「NO」と返してくるのか。
違うと言うならば、何故違うのだろうか。
暫し思考すると、机に置かれたままになっていた貰い物のチョコが目に入った。
あぁ。なるほど。
己の好き嫌いは理解しているな。
わからないだらけに囲まれようと
己を見失ってはならない。
好きなものは好き。苦手は苦手。
それこそが個性であり、
かけがえのない己というものだ。
どこか悟った気分で
Kissチョコを一つ口に放り込む。
やはり…。
自分の中で沸き起こる感情に
私は一人苦笑を漏らした。
言葉に思いを託し
音を編む
声よ奏でよ
この歌を
歌よ届け
この世界に
世界よ響け
1000年先も