NoName

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愛だの恋だの

ヒト科の言うところの子孫繁栄に伴う感情は未だにわからない。

わからないが、この世界には確かにそういったもの達があるらしい。

それらはいつ、我が身に降りかかるのだろうか?
それとも一生降りかからず
「あぁ、そんなものがこの世界にはあったようだ。」と、思うだけに留まるのか。

明日の我が身など誰にもわからない。

わからない。わからない。

わからないだらけに囲まれて生きているのがヒト科の定めなのだろうか。

そこまで思い至ると、直ぐに「NO」の文字が現れた。

ふむ、「NO」と返してくるのか。
違うと言うならば、何故違うのだろうか。
暫し思考すると、机に置かれたままになっていた貰い物のチョコが目に入った。

あぁ。なるほど。
己の好き嫌いは理解しているな。

わからないだらけに囲まれようと
己を見失ってはならない。

好きなものは好き。苦手は苦手。
それこそが個性であり、
かけがえのない己というものだ。

どこか悟った気分で
Kissチョコを一つ口に放り込む。

やはり…。

自分の中で沸き起こる感情に
私は一人苦笑を漏らした。

2/4/2024, 10:56:34 AM