『雫』
雨上がりの農道には
夕日が左後ろから落ちていて
雑草についた雫が
まるで実がなったような
イルミネーションのような
そんな景色を見せてくれた
少し進めば蜘蛛の巣が張られていて
そこでも雨の雫は
まるで作られたように配置されている
それはガラス細工の作品のような
そんな繊細さを見せていた
僕は雫が日常を変える芸術によって
いつもより雨の匂いが華やかに感じた
『何もいらない』
僕は持ちすぎた
家族には愛されて
友達には甘やかされて
おばあちゃんなんてどんどん和菓子をくれるんだ
五体満足で生まれ
ご縁に恵まれて周囲には良い人ばかり
私を敵視する人は
一見悪く見えようと自分に学びをくれる教師なのだ
人生は捨てるところがないほど学びで埋め尽くされ
私の人生は全て幸せ色だ
もう何もいらない
いや、これ以上何が必要なのか
『もしも未来を見れるなら』
もしも未来を見れるなら
どれだけ楽だっただろう
もしも未来を見れるなら
これほど悲しまなかっただろう
もしも未来を見れるなら
もっと上手く生きられた
でも
もしも未来を見れるなら
これほど嬉しくもないし
もしも未来を見れるなら
こんなに日々を大切に生きることもなかった
『桜散る』
桜は散ってしまう
友人との楽しいお喋りの一時も
いずれ終わりが来るし
あの喫茶店で飲む甘いミルクセーキも
いつかは無くなってしまう
今ある若さもいずれは老いてしまうし
この人生もいつかは終わるんだ
終わった後を考えるんじゃなくて
その時をどれほど楽しめるかで
その価値は変わるだろう
『夢見る心』
ラムネの瓶の奥にビー玉が見えて
そのビー玉は何より輝いてた
炭酸の泡はその玉の表面を撫で
浄化されるように上へと昇ってる
そんな夢を見た町の駄菓子屋は
もうやっていない
褪せたタバコの看板と
笑顔で出ていく子供たちの幻影
そこに幸せはあったのだ
そこで飲んだあのラムネのビー玉は
僕のブリキの宝物入れにしまってある
でも開けれない
何故かその記憶が逃げてしまいそうで
もう思い出が消えていそうで