『一年後』
夢で自分を見た
映画を観るような感じで自分を見ていた
家族とお墓参りをしていたり
一人旅行をしていたり
ショッピングモールをひとしきり見て歩いたあと
椅子に腰をかけて一息ついていた
出てきたのは家族だけで友達はおらず
少し侘しくも見えたが
映る自分は微笑んでいた
今の自分ではそれが良い未来が悪い未来か分からないけど
一年後なんかでは到底届かない幸せを
彼は見ているのかもしれない
『子供のままで』
心が置いてけぼりにされた気分だ
体はでかくなり いつの間にか足のサイズも父を越えた
地面から遠くなり 道に落ちている宝物は見えなくなった
皆と同じ形で背広を着て電車の中に流れ込む
ワクワクやキラキラは今も思う
かまきりや川を泳ぐ魚に興奮して
ちょっとしたシールをコレクションして
集めた綺麗な石や珍しい錆びたブリキの破片を
一緒にして同じ箱にたいせつに入れていたいものだ
心だけ子供のままで 体は大きくなって
いつしか心と体は離れてしまいそうだ
『モンシロチョウ』
ふとカーテンを開ければ
庭にはモンシロチョウがいる
たんぽぽに止まる姿は
天使と黄金の草原に見える
風に煽られながら飛ぶ姿は
白い衣をまとった舞姫のようでもある
そんな神秘的で優美なものは去る背中から
春の終わりを教えてくれた
『1年前』
目が合えば笑われてるようで
まだ若いのに酒の旨さを知った
酒に酔えたら人は気にならなくなり
笑い上戸になって幸せじゃないか
たまに気分は悪くなるけど
こんなに生きるとは心地いいのかと思っていた
しかしある日を境に酒はいらなくなった
それは生きる知識、幸せの感度の上昇、割り切り方である
この3つはお酒を使ってやったいたことだが
自分で知識を求め、色々知っていく中で身についたのだ
無知によって私は酔わされていたのか
今はお酒は嗜む程度だ
『初恋の日』
給食の後の授業中
暖かい日が差して意識が遠のいて
視界が霞んできた頃右肩を叩かれた
ぼやけた視界で見えたものは多くないが
彼女の胸元に給食が付いている
なんとわんぱくなことだろう
橙に染まる教科書の文字は
まるで異国語のように脳を通り抜け
ただ彼女が頭の中で膨らむことに気づいていた
頬が熱いのは日が差してるからなのか
私はカーテンを閉めても窓の方を向いていた