BORN

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6/28/2025, 2:39:35 PM

          「夏の気配」
          急に目が覚めた
        時計を見ると2時間早い
     二度寝でもしようか、 無理だろう
            起きる

         3時の廊下は冷たい
       昨日は土砂降りだったのに
      雨音1つ聞こえない、車の音でさえ
            歩く

          トイレに着く
       空いている小窓から香る 
      春じゃないし、梅雨じゃない
     少し爽やかな、でも暑い夏の風が
            吹く

          リビングに入る
       意味もなくスマホをつける
     ページに梅雨の終わりが告げられる
    暗い部屋で、唯一の明るい光をこの手で
            消す

       作業をする
        いつもの時間になる
      一息いれるコーヒーを淹れる
    ふと、気がつくと、うるさくセミが
            鳴いていた

6/27/2025, 11:49:46 AM

「まだ見ぬ世界へ!」
どのくらい歩いたのかな
きっと人が一生を終えるのと同じくらい
先の方に一粒のごまのようなものがある
近づいてみようかな
目の前には小さな、でも存在感の大きな扉があった
ふと、横に目をやると、
私より頭2つ分、背の違う子供が立っていた
女の子なのか男の子なのかわからなかった
「こんにちは」
子供の方から声をかけられた
その声は鈴のようだがどこか響く
「おとなのひと、めずらしい」
私は大人ではない
「おにいちゃん?おねえちゃん?」
どうやら、向こうも判別できないようだ
「いいや、おとなもここにはいるの?」
私は迷った、この道で扉など一度も見ていない
まず、ここは道なのだろうか
「ここのとびらあけてあげる」
この扉を開けられるのは、この子供だけのようだ
「いってらっしゃい」
扉の外は光で見えなかった
「あなたのみらいにひかりがありますように」
私は心を決めまだ見ぬ世界へ飛び出した

6/26/2025, 12:51:38 PM

「最後の声」
 「          」
これがあなたの最後の言葉だった。
 街の動く時間、公園で君は私と出会った
年齢なんてわからなかった、あなたも私も私服だったから
 「            」
これはあなたの最初の声
 なんて言ったかはわからない
 だって耳が聞こえないから
 あなたは私になにを言ったの?
 きっと一生わからない
 けれど、わかった気がする
 あなたに届いたかな
 私の出した最後の声が
 

 「君と一生を共にしたい」
これが僕の最後の告白だった。
 5時のチャイムの鳴り響く公園に、君は座っていた
一目惚れからだった、君とずっといたいと思った
 「あなたに一目惚れしました」
これは僕の最初の告白
 君はどう思ったんだろう
 君が僕の目を見る
 君の顔には疑問が浮かぶ
 なんでそんな顔をしてるの?
 きっと僕にはわからない
 けれど、気づけたんだ
 かすかに声が聞こえたんだ
 君の出した最初の声が


  「ありがとう」