植物は正直だ。
たくさんの愛を注いだら
期待に応えて花を咲かせてくれる。
実もつけてくれる。
水やりは適量か
暑くないか
寒くないか
害虫はいないか
おはよう
きれいだよ
ありがとう
いつも私は植物と会話をする。
#291
「おいで」
私が両手を広げると
一直線に私の胸に飛び込んでくる。
子供はかわいい。
心と心が繋がるこの瞬間が
私は大好きだ。
生きている。
純粋なまなこを見てそう思う。
命を預かる責任の大きさに
身震いする。
尊い仕事をしていると
私は思う。
#284
私は何でもないフリをするのが
下手くそだ。
窓口でお客さんに理不尽なことを
言われてはへこむ。
何よ こんなの日常茶飯事よ。
気にしない。
って言って平静を装っているが
動揺してる。
家で落ち込むことがあったら
家族にばれる。
「どうしたの?何かあった?」
聞こえないフリをして家事をするが、
顔は語っている。
私は何でもないフリができない。
正直者だから。
それを長所だと思うことにする。
#277
子供は気まぐれです。
今日一緒に遊んだかと思うと、
次の日は別のお友達と遊んでいる。
今日は美奈子先生が
好きって言ってるけど、
明日はさゆり先生が
好きって言うかも。
昨日ブロックで遊んだでしょう
昨日の続きをしようよ。
そう言っても今日は絵を描いて
私の声は聞こえない。
私のことを仲間だと言っていたのに。
しょうがないな。
期待されて裏切られて
子供の心は七変化。
#262
あっくんの弟は2歳です。
生まれた頃はちっちゃくて、こわれそうで、ふれるのも怖かったけど、
今では、あっくんといっしょに遊びます。
今もお昼ごはんを食べ終ったので
お着替えをします。
「あっくん、こうちゃんの
お着替え、手伝ってあげて」
お母さんが食事の片付けをしながら
言いました。
あっくんは、お口をタオルでふいて、急いでこうちゃんのところにかけつけました。
こうちゃんは、ケチャップで汚れたズボンをぬいでいます。
最近は両手でゴムのところをつかんで
下に下げるのが上手になりました。
今度はウサギの絵がかいたズボンを
はきます。
「それじゃあ 逆さまだよ」
こうちゃんは足が出るところからはこうとしていました。
あっくんは違うと言って引っ張りました。
こうちゃんは怒り、そして泣いてしまいました。
お母さんがかけつけます。
「あっくんありがとう
教えようとしたよね」
お母さんが正しくはかせて今は
おもちゃに夢中です。
「今度はあっくんのお着替えしましょうね。あら、肌着の袖の部分が中で
くるんくるんってなってる」
お母さんはあっくんの腕をまくりあげ
肌着をつかみ引っ張ります。
あっくんはこれが大好きです。
この時だけはお母さんはあっくんだけを見てくれます。こうちゃんもいません。あっくんだけのお母さんです。喜んでもう片方の腕も出します。
「これで寒くないね」
大人になったあっくんは片方の袖を
自分で引っ張ります。
引っ張る度に思い出す
寒い日の遠い思い出です。
#254