チーズケーキ

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11/18/2025, 11:26:27 AM

テーマ:記憶のランタン

「ふふ…」
薄暗い部屋の中。
手元の小さな光に照らされながら、
思わず笑みがこぼれる。

ぐー、ぐー、と寝息を立てる小さな娘。
その横で、母はスマホの画面をそっとスクロールしている。
もちろん、中は娘の写真で埋め尽くされている。

カメラを向けると、ほっぺに人さし指を当てる姿。
運動会では、ぶどうの衣装を身にまとって踊った。
みかんを両頬に添えて、無邪気に笑った日。

スクロールするたび、写真がぽっと灯るように浮かび上がる。
記憶のランタンのように、
スマホの光は思い出をよみがえらせる。

「…ぃたっ」
娘に背後から蹴られた。
スマホの光で起こしてしまっただろうか?
慌てて画面の光を落とす。

「…ぐー、ぐー。」
娘のほうを見る。
どうやら起きてはいなかったようだ。
指しゃぶりをする寝顔。

さっきまで灯っていた光は、もう消えている。
小さないびきを聞きながら、母も眠りにつく。

11/16/2025, 1:13:44 PM

テーマ:君を照らす月

窓の外をのぞきこみながら、きょろきょろと月を探す娘。

絵本『おつきさまこんばんは』を読んでから、
空に月を探すようになった。

「おつきさま、みえないねー」
「雲さんとお話してるのかな?」
「あっ」

雲間から、ふいに月が顔を出した。
娘は少し興奮気味に、まくしたてる。

「おつきさま、くもさんとおはなししてたよ!
 おつきさま、こんばんはだよ!
 おつきさまがね、くもさんとね――」
「そうだね、雲さんとお話してたんだね。
 お話が終わって、出てきたんだね」
「おつきさま、みえたよ!」

幼い瞳が月を見つめて輝き、
小さな手は光のほうを指さしている。

君を照らす月は、まんまるい形をしていた。

11/16/2025, 5:34:37 AM

テーマ:木漏れ日の跡

授業中、ふと床を見ると、
木漏れ日の跡が揺れている。

キャンパスノートを机に広げ、
きれいな水色のシャープペンシルを使って
板書を写す。

窓は少し開いていて、そよ風が心地よい。
季節は、春。

自然豊かなこの白い学び舎で、
静けさのなかに先生の声を遠く聞く――

はっ、と人の気配で目を覚ました。
いつの間にか、眠ってしまったらしい。

「おはよう」
・・・ん?

「お母さん、ごはん」
「おはよう」
私は、寝ぼけたまま挨拶をする。

また学生時代の夢を見たようだ。

カーテンの隙間から差す朝の光に、
さっきの夢の余韻が少しだけ残っていた。

11/14/2025, 2:31:02 PM

テーマ:ささやかな約束

保育園からの帰り際、娘のお友達が声をかけてくれた。
「またあした、あそぼうねー!」

ふたりはハイタッチして、にっこり笑う。
「またあした、あそぼうねー!」
うちの娘も、同じ言葉を返した。

娘にとって、その子はお姉さんのような存在だ。
月齢の離れたお友達は、いつも優しく手を引いてくれる。
2歳と3歳が交わす、小さくて、ささやかな約束。

ふたりは、姉妹のように、いつでもいっしょ。
朝、登園すると、自然に手を引いて席に着く。
小さなお手々を繋いで、散歩に行く。

明日もまた、仲良くあそべますように。
そんな願いを胸に、私はふたりの姿を見守った。

11/13/2025, 6:28:25 PM

テーマ:祈りの果て

小さく、かすれるほどの声で、
ひとつの魂が祈った。

どこか、ここではない遠い場所へ――
心穏やかに過ごせる、
迫害のないところへと。

寒さに震えることなく、
痩せた体が病に蝕まれることもなく、
意地悪な人々に
心無い言葉を投げつけられることもない
そんな場所へ。

祈りの果てに、神様は遠い場所へ
運んでくださった。

暖かい寝床、安全で静かな環境、
優しい人々。
ほかほかと湯気を立てるスープ。
向けられる笑顔につられ、
こわばっていた表情も、やがてゆるむ。

お腹も心も満たされ、
守られながら眠る夜。
窓の外の月は、美しかった。

――もう大丈夫だよ。
空は、そう言って微笑んでいるようだった。
それが、祈りの果てに見つけた世界。

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