MoMоme

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9/3/2024, 5:07:03 PM

ご不要な感情、ご不要な感情はございませんか?
失恋、喧嘩、黒歴史由来の羞恥心、単なる愚痴でも構いません。抱えたままでは日常でご不便な事もございましょう
胸に秘めているより吐き出したほうが楽かもしれません

突然失礼致します。あの、他のお客様からご紹介頂いて来たのですが…。
感情の回収をしていまして…はい、はい。なんでも回収させて頂きます。例えば?そうですね…犬嫌い克服のために恐怖心ですとか、一つ前だと長年嫌ってたお知り合いへの感情も回収させて頂きました。

そうでしたか、親しかったご友人が事故で…。
勿論死別の悲しみも回収致します。お金?結構ですとも、ボランティアってやつですよ、ははは!
良かったですね。これで明日から心晴れやかに過ごすことができますよ。

そうだ。ついでに他のも回収しましょうか?
ほら、あるでしょう?例えば苦手な人の愚痴だとか…。あぁ苦手な友人がいらっしゃる!回収致しますとも!
そんな、ついでに嫌いな人への感情を捨てるなんてよくある事ですよ。全ての人が好きな人間なんて居ないんですから!寧ろ助かります!
…ん?あぁいえ、こちらの話です。へへっ

それで、その人について教えてくれますか?えぇ何でも良いですよ。

『些細なことでも』

9/2/2024, 12:21:37 PM

毎日毎日、世間一般で当たり前と言われることを精一杯頑張って積み重ねる日々。
疲れた体で家帰ってきてあと少し、あと少しって自分を鼓舞しながら洗濯物回して干して自分の飯や風呂や歯磨きなんかして面倒な気持ち押し殺しながら世話焼いてやって
次の日の準備した方が明日の自分が楽できるんだろうなって分かってるのにほんの少しだけって甘い言葉に負けて30分だけと自分に何度も念を押しベッドへ横になる。

そんなに見たいわけでもないのに、いつもそうしてるから惰性でSNS開いてちょっと飽きたら動画見たり、見てなかった連絡に目通して適当に返信したりして、またいつの間にかSNSを見ていて
有意義さの欠片もない時間を過ごしてるうちに気付いたらもう2時間は優に超えてるし、横になってスマホいじってただけなのに何故かベッドから起き上がる気力が湧かないくらいやる気がガス欠を起こしてた。

そんなつもり無かったのになって昨日も一昨日もなんなら半年くらい繰り返してる気がする後悔を今日もして、あーあ自分ってホントに駄目なヤツって小突く様に罵倒を一つ

いつの間にか落ちてた眠りから、いっそ嫌悪感すら覚えるアラーム音で目覚めると何故かまた1日どうにか踏ん張れる程度の気力が回復してる。

布団の中でうだうだごねていたいけど遅刻したりしないのが"当たり前"だから、なんとか起き上がって昨日力尽きた自分の為に乾いてハンガーから外され放置されてた洗濯物を片付けた。顔洗って、眠たい目こすりながらコンビニで適当に飯を買うけど、朝起きてから仕事場に着くまでずっと職場が爆発でもして休みになんないかなって願ってる。
昨日と今日なんて誤差程度の違いしかないけど、当たり前をこなす為に毎日を繰り返す。

不器用で人間として生きることに不向きだって自覚だけはある自分は、やる気とか根気とか、炎で例えられがちな"ソレ"を有り余るほどなんて持てる訳もないけど
せめて完全に消えてしまわないよう慎重に、慎重に今日を繰り返す。


『心の灯火』

8/29/2024, 12:40:33 PM

どこかの家から子供を叱る声が聞こえて、蝉の声が負けじと鳴いていた。
それを仰向けで、床に寝そべり聞く私の周囲にはゆったりとした穏やかな時間だけが流れていて、そっと腹の上にいる猫を起こさないよう気遣い撫でてやる

すう、すう

まだまだ暑い日が続いてるというのに知った事かとでも言わんばかりに寝息を立てる愛猫
言葉も話せない猫に向かって、今年も暑いねと愚痴るのは今回の夏で15回目を過ぎたか

人が椅子から立ち上がるだけで背中を丸め、尻尾を膨らませていた猫だが、年々落ち着きを手に入れて体のハリと毛艶を手放してしまった。
変化を感じるたびに歳を数えることが怖くなってしまった臆病者は、来年の夏も一緒に過ごせるかな、と思ったりする

勝手にしんみりする飼い主に、猫は相変わらず体同士をくっつけ暑さなど知らない顔で穏やかに眠っている

膨らんでは、しぼんで。また膨らんで

呼吸をする度あたるアバラ同士を感じながら、来年は過ごしやすくなると良いね。と独り言をこぼす。

当然、返事など返ってこないわけだが。

『言葉はいらない、ただ…。』

8/28/2024, 4:12:47 PM

蒸されるような暑さの中、ピタリと閉じた網戸を隔て喧しく騒ぐ夏虫の声。
風物詩から逃げるようにイヤホンをし、椅子に座ってほとんど動いてない脳みそで死んだように動画を見ながらSNSを徘徊する
カチカチ、マウスを握りふらつかせていた足に抜けた髪の毛でも当たったような違和感

払いのけようと手を動かすが妙な予感が電流のように頭を駆け巡り一度動きを止める。

ソロリ…。下を覗き違和感のある足へ視線を向けた
切り取られ丸まった洗濯タグの様な細長く白い体の、なにか

ゾワリ。急に動き出したせいかまともに動いてくれない頭が言葉を捻り出す。

いったいどこから―――。


『突然の君の訪問』