MoMоme

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どこかの家から子供を叱る声が聞こえて、蝉の声が負けじと鳴いていた。
それを仰向けで、床に寝そべり聞く私の周囲にはゆったりとした穏やかな時間だけが流れていて、そっと腹の上にいる猫を起こさないよう気遣い撫でてやる

すう、すう

まだまだ暑い日が続いてるというのに知った事かとでも言わんばかりに寝息を立てる愛猫
言葉も話せない猫に向かって、今年も暑いねと愚痴るのは今回の夏で15回目を過ぎたか

人が椅子から立ち上がるだけで背中を丸め、尻尾を膨らませていた猫だが、年々落ち着きを手に入れて体のハリと毛艶を手放してしまった。
変化を感じるたびに歳を数えることが怖くなってしまった臆病者は、来年の夏も一緒に過ごせるかな、と思ったりする

勝手にしんみりする飼い主に、猫は相変わらず体同士をくっつけ暑さなど知らない顔で穏やかに眠っている

膨らんでは、しぼんで。また膨らんで

呼吸をする度あたるアバラ同士を感じながら、来年は過ごしやすくなると良いね。と独り言をこぼす。

当然、返事など返ってこないわけだが。

『言葉はいらない、ただ…。』

8/29/2024, 12:40:33 PM