懐炉 @_attakairo

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1/17/2026, 10:26:02 AM

口笛ふけば
枝葉のすみから すみまで絶え間なく

林の喧騒 巻き上げて
暖を根こそぎ攫ってく

お願いだから樹皮は剥がしてあげないで

窓のうちから叫ぶ声
そんなところから聞こえないわ
あなたも支度を始めたほうがよろしくて

【木枯らし】

1/17/2026, 7:03:06 AM

太陽の光を浴びて
自然界に溶け込む。
「ずっとここにいればいいのよ」
となりで彼女はひざを抱え、傾けた。
裾に縫いつけられたフリンジが流れるように、
髪束が空を透いてゆく。
「そうしたら悩みごとなんてなくなるでしょう?」
彼女の視線と、
「悩むことは嫌いじゃないんだ」
綿毛が交差し、遥か彼方へ。「生きている感じがするから」

「その生きているっていうのは、存在意義のようなもの?」
彼女が姿勢を崩して「辿り着ける場所なんて無いわ」「ここにいてくれるだけでいいの、それだけで」
フリンジがばらばらと散る。
「充分よ」
潤いの目。唇。地面に縫いつけられた手、降りてくるカーテン。
空が見えないと不安になった。
「もう行くよ」
別れを告げて
幕引きを止める。
「……手を離してくれないかな」

空には薄い雲が掛かっていた。
「あなたのことを語り継ぐわ」
「どんなふうに?」
「病弱な幼なじみを捨てて村を出た、最低で、夢見がちな英雄。彼は紫の美しい瞳をもっていたって」

思わず振り返ると、彼女は陽だまりから手を揺らし微笑んでいる。

【美しい】

1/16/2026, 9:39:51 AM

天然由来の油でギトギト
ほんのり甘いベール被せて
丸めて見せた綺麗な面
どうぞお好きに
白餡 黒餡 ときには辛味
知らない用語を使わないで、難しい意味を解説しないで、
噛み砕いたら歯が欠けちゃった
極彩色のタールと化した
複雑で単調なマーブル模様

【この世界は】

1/14/2026, 12:22:06 PM

何度も何度もアラームかけた
眠くないのに起きあがるのは十分前。
玄関に置いてあったのに忘れた
鞄に入れては別の鞄を手に出掛ける。
人生うまくいかないどころか
日々の営みにつまずいている、
人間讃歌
なんともいじらしい、

ヒトは愛される素質があると。

愛をもとめて進化しながら

愛をみつめて退化してきた。

イヌやネコ、空や海
知らないだれかの愛からうまれ
何億光年と謳われている

問いかけたって返ってくるのは
あなたは愛されているとの詭弁ばかり

【どうして】

1/13/2026, 1:23:37 PM

終点のない列車に乗り込んで、ただ揺られていた。
切符は早々に回収された。
乗務員がいうには「リサイクルの為です」と。命はまわす必要があって、終点がないのもその為だという。
外の景色はよく移り変わった。
眠気に身を任せるたびに。ゆえに目を覚ますたび、別世界へと入り込む。
カラフルな気球が晴空に浮かんでいた。かと思えば雪枝の山中を走っている。かと思えば金銀、小魚の群れが泳ぎ去り。かと思えば……

終わりなく眠ってしまう。
不思議とからだの疲れはなくて、もうどれだけの駅を過ぎたのか、はたまた停まっていたのか定かでない。
心地良く。
仮に今「降りてください」といわれても動けそうにない。

乗務員が巡回にきた。手帳のようなものを開き、切符を見せろという。

切符はもう渡した。
降りる予定の駅はない。

このように伝えると、相手は頁を捲りながら無言でしばらく立っていた。そうして何度目かの景色が過ぎた。

「リサイクルの為です」頁を捲り終えた乗務員がいうには。
「いちど本来の姿に戻し、さいど命をうみ落とす為の」
流されてゆく景色と眠気。噛みころす欠伸。
相手は繰り返す。
「再生の為です」
言い直すように強く。
まぶしさに車内が染まるなか、白、黄、赤などの光をみた。

サイセイのためです。
また言い直すように。
それは「再生」というよりも、別のなにか、響きとしては終着が始発に変わる瞬間に近いなにかを感じさせる。

【夢を見てたい】

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