Anemone

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4/23/2025, 3:30:35 PM

『どこへ行こう』

最近オープンしたショッピングモール。
オムライスが美味しい駅前の喫茶店。
珍しい動物がいる動物園。ペンギンが有名な水族館。
普段触れる機会の無い展示を行なっている博物館や、散歩コースのある広い公園。

今日はどこに行こうか?
多すぎる選択肢に迷ってしまう。

「一番楽しいところにしようよ!」

君はそう言うけれど、そうやって決めるのは無理に等しい。

君と居れば、どこに行ったって楽しい。
どこに行っても、君が居れば楽しいから。

4/22/2025, 11:33:20 PM

『big love!』

想いは言葉にしないと伝わらない。だから私は、毎日彼に「大好き!」と言っている。会ったら挨拶の次にそう言うし、会えない日はメールや電話を送っている。
彼は恥ずかしがり屋だから、「はいはい」とか「わかってるよ」とか受け流すけど。

「おっはよ〜。大好きだよ!」
今日は久々のお家デート。ドアを開けてすぐ、私はいつも通り言った。
「おはよう。俺も大好きだよ」
部屋に上がって、思考がフリーズした。いつも言ってくれないのに、どうして。
「今日誕生日でしょ? お返しに言ってみたんだけど、どうかな」
彼は頬を掻き、眉を下げて笑う。
「不意打ちしないで……」
私は手で顔を覆い、その場にしゃがみ込んだ。

4/22/2025, 10:06:47 AM

『ささやき』

下校時間ギリギリまで掛かった委員会。「終わるまで教室で待ってるからね」と言った君は、机に伏せてすやすやと寝息を立てていた。
長いまつ毛とか、さらさらの髪の毛とか、表情の一つ一つが魅力的に思えて、少し気を抜けばすぐに気持ちがバレてしまうほどに目が離せないでいる。
言いたくても口にできないこの想いは、吐き出さないと破裂してしまいそうで。
「──好きだ。いつかちゃんと、伝えるから」
僕はそう囁いた。
そして数秒後、後悔した。
君の耳が真っ赤に変わっていることに気づいて。

4/20/2025, 2:12:08 PM

『星明かり』

きみの顔が、うっすらと明るい夜空に照らされる。普段と同じ帰り道なのに、胸が締め付けられるように痛くて、拳をぎゅっと握ると思わず爪を食い込ませてしまう。
今日こそは伝えると決めていた。きみに対する、たった二文字では言い表せないほどの、大きくて複雑で少し切ないけれど温かい本当の気持ち。ぼくが抱えている、いちばん大きな隠しごと。
今日こそは……そう決めていたのに、ぼくは中々切り出すことができない。

「今日は、星が綺麗だね」

きみから目を離し、空を見上げる。暗い紺色に散りばめられた無数の欠片が、ほんわりと辺りを照らしている。澄んだ空気が涼しくて、柔らかく髪を撫でる風が心地よい。
たった一つの夜空さえいつもと違うように感じられるのは、隣にきみが居るからだろうか。

ぼくは息を吸い込むと、やっと二文字を口にした。

9/22/2021, 1:09:55 PM

誰かが助けを求めているのに、
周りの人は助けようとしない。
聞こえていないわけがないのに。

泣いている彼を、遠くから見つめる。
「たすけて」そう聞こえた気がした。
誰か助けてあげてよ。

はっと気づいた。
私も同じだ。

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