Anemone

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『ささやき』

下校時間ギリギリまで掛かった委員会。「終わるまで教室で待ってるからね」と言った君は、机に伏せてすやすやと寝息を立てていた。
長いまつ毛とか、さらさらの髪の毛とか、表情の一つ一つが魅力的に思えて、少し気を抜けばすぐに気持ちがバレてしまうほどに目が離せないでいる。
言いたくても口にできないこの想いは、吐き出さないと破裂してしまいそうで。
「──好きだ。いつかちゃんと、伝えるから」
僕はそう囁いた。
そして数秒後、後悔した。
君の耳が真っ赤に変わっていることに気づいて。

4/22/2025, 10:06:47 AM