君と出会って
君と出会ってどのくらいの時が経ったのだろうか?
君はいつも言っていたなあ。「おーい。どこを見ているんだ。俺は窓にはいないぜ!」と
僕はいつも窓を見ていたなあ。なぜか外の世界に憧れていたんだ。君は「なあ。俺達離れ離れになっても友達だからな。たとえ、お前がここを出ても、勉強が嫌になっても」と言っていた。
でも、君は、もうここにはいない。君は墓で寝ているんだ。ありがとうを伝えられなかったなあ。
耳を澄ますと
耳を澄ますと、鳥のさえずり、風の音などの自然の音が聞こえる。
耳を澄ますと工事の音、人間が開発するおとが聞こえる。
明日は何の音が聞こえるかな?
二人だけの秘密
ねえ。覚えている?幼い時の約束。と
彼女に聞かれた。彼女は病気で入院している。
ああ、なんだって?幼い頃の約束はいっぱいあったから覚えてないよ。と俺は答える。
彼女は悲しそうな顔をした。そして、言った。
「本当に覚えてないの?大人になったら、結婚しようと言ったじゃん。でも、今の私じゃ。結婚できない。」
俺は「俺は君じゃないとだめなんだ。どうしてそんなことを言うんだ!」と漫画に書いてありそうなセリフを言う。彼女は「そっか、私、後一年しか生きられないだって。だから、結婚生活も少ししかできない。」と悲しげに言った。俺は「そっか。」と言って黙り込んだ。ごめん。俺は覚えていたんだ。約束を。もう知っていたんだ。君が寿命が短いのも。
俺は「カッコつけたかったけど、こんな俺と結婚してください。」と言った。彼女は「はい」とは言わなかった。そっか、そういえば、お互いになにかあっても一緒に乗り越えようという約束をしてなかったからな。
優しくしないで
なんで、君は優しくするんだ。
私は「優しさ」を忘れてしまったのに。
優しさを忘れてしまった上に透明人間になってしまった私に声をかけるの?
お願いだから、君のためにも私のためにも、声をかけないでそっとして!
じゃないと私は最低だから、期待をしてしまうの。
私の声は誰にも届かない。私はもう諦めたの。
みんなに期待はもうしないって決めたの。
みんなは言うよ。「私は病原菌」って。
私に近づくと君まで感染してしまうよ。
一人の方が傷つかないし、一人の方が楽なの。
私は大丈夫だから。本当に大丈夫だから。
強がってなんてないよ。
例え、物を壊されたりしても、耐えればいいだけだから。
風に乗って
「ねえ、おばあちゃん、私、大きくなったら空を飛べるかな?いつか、この大空で飛びたいの!」と幼い私は聞いた。おばあちゃんは「絶対に飛べるよ。夢があるというのはいいことだよ。」と答えた。私は「大きくなったら、おばあちゃんにも見せてあげる!」と言ったら、おばあちゃんは「それは楽しみだね。」と言った。そんな時間はゆっくりと流れた。
実際、大人になった私は幼い頃の夢を忘れてしまった。いつも、会社の上司に怒られて、仕事でミスをしたら、周りの同僚に笑われて、空を見上げることさえできなかった。空を飛ぶところか、社会という檻に入れられて、自由にすることができない。休むことも許されなかった。毎日が苦しくて仕方がなかった。
時には、「死にたい。」と思って、屋上まで行き、飛び降りて自殺をしようとした。でも、できなかった。どうしてもできなかった。怖くなったのだ。自分が。
そんな時、一羽の生まれたばかりのスズメが飛んだ。私と重なってしまった。社会というものを知らなかった私は純粋に何でもなれるように思えた。そのためだったら、何度でも挑戦した。努力もした。でも、今の私は翼を傷つけられた鳥だった。でも、生まれたばかりのスズメは風に乗って飛んだ。自由を手に入れるために。私は翼を傷つけられたうえに自由に飛ぶ方法を忘れた。また、おばあちゃんとの約束も思い出した。
おばあちゃんは死んでしまったが、風になっている。
あっ。そっか、私は翼を失ってしまったのか。