君の力になりたい。

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風に乗って
「ねえ、おばあちゃん、私、大きくなったら空を飛べるかな?いつか、この大空で飛びたいの!」と幼い私は聞いた。おばあちゃんは「絶対に飛べるよ。夢があるというのはいいことだよ。」と答えた。私は「大きくなったら、おばあちゃんにも見せてあげる!」と言ったら、おばあちゃんは「それは楽しみだね。」と言った。そんな時間はゆっくりと流れた。
実際、大人になった私は幼い頃の夢を忘れてしまった。いつも、会社の上司に怒られて、仕事でミスをしたら、周りの同僚に笑われて、空を見上げることさえできなかった。空を飛ぶところか、社会という檻に入れられて、自由にすることができない。休むことも許されなかった。毎日が苦しくて仕方がなかった。
時には、「死にたい。」と思って、屋上まで行き、飛び降りて自殺をしようとした。でも、できなかった。どうしてもできなかった。怖くなったのだ。自分が。
そんな時、一羽の生まれたばかりのスズメが飛んだ。私と重なってしまった。社会というものを知らなかった私は純粋に何でもなれるように思えた。そのためだったら、何度でも挑戦した。努力もした。でも、今の私は翼を傷つけられた鳥だった。でも、生まれたばかりのスズメは風に乗って飛んだ。自由を手に入れるために。私は翼を傷つけられたうえに自由に飛ぶ方法を忘れた。また、おばあちゃんとの約束も思い出した。
おばあちゃんは死んでしまったが、風になっている。
あっ。そっか、私は翼を失ってしまったのか。

4/30/2024, 3:34:23 AM