〚光と闇の狭間で〛
右が光で、左が闇
僕は迷わず右に進んだ
だが、1年も経たないうちに闇へと引っ越した
「光は僕には合わない」と思ったからだ
それから約1年、やっぱり光へ戻ることにした
「闇は僕には合わない」と思ったからだ
1年後、また闇へ戻ろう
「光は僕には合わない」
「闇は僕には合わない」
「光は僕には合わない」
「闇は僕には合わない」
「光は僕には合わない」――――――
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〚距離〛
私と君との間にある距離は平行線のようなもので、近づくこともなければ離れることもない
離れることがないならまだいいか、と自己欺瞞にふける
でも、これ以上君に近づけないという事実は明らかに存在していて、切り離す事ができない
それに気がつく度にどうしようもなくやるせない気持ちになる
〚泣かないで〛
「泣かないで、君の泣いてる顔は見たくない」
僕の口から出た無責任な言葉
この言葉は優しい君の心に深く傷をつけた
君に泣くことを無理矢理我慢させ、痛々しい笑顔を作らせてしまう、悪魔のような言葉
〚冬のはじまり〛
きっと冬の寒さと夏の暑さがなかったら、秋の心地よさには気付けなかっただろうな
そんなことを感じる冬のはじまり
〚終わらせないで〛
僕の目の前で、君は鮮やかな血しぶきをあげた
倒れそうな君の体をとっさに受け止める
僕の脳は、君の死に対する拒絶で塗りつぶされた
「いや」「うそ」など単純な言葉が口から本能的に漏れ出す
そうしている間にも、君の意識は遠のいていく
言いたいことがたくさんあるのに、僕の混乱した脳はそれを許さなかった
もっと時間がほしい
まだ君の死を覚悟できていない
君に言うべき最後の言葉も見つかっていない
心の底からこの時間を終わらせないでくれと神様に願った
だがそんな願いが叶うはずもなく、時間は無情に経っていく
君の意識が途切れる直前、僕は自分の頼りない肉体に力を入れ、胸の底から無理矢理言葉を引きずり出す
「おつかれ」