〚終わらせないで〛
僕の目の前で、君は鮮やかな血しぶきをあげた
倒れそうな君の体をとっさに受け止める
僕の脳は、君の死に対する拒絶で塗りつぶされた
「いや」「うそ」など単純な言葉が口から本能的に漏れ出す
そうしている間にも、君の意識は遠のいていく
言いたいことがたくさんあるのに、僕の混乱した脳はそれを許さなかった
もっと時間がほしい
まだ君の死を覚悟できていない
君に言うべき最後の言葉も見つかっていない
心の底からこの時間を終わらせないでくれと神様に願った
だがそんな願いが叶うはずもなく、時間は無情に経っていく
君の意識が途切れる直前、僕は自分の頼りない肉体に力を入れ、胸の底から無理矢理言葉を引きずり出す
「おつかれ」
11/28/2023, 12:01:50 PM