今年の抱負は生きること。
そう書こうとして、ああ、死ぬ時に
「人生最後の抱負を達成できなかった」と
後悔したくはないと思って、書くのをやめた。
今年の抱負は生を全うすること。
楽しく、悲しく、笑って、泣いて、
ただ細々と、時に彩って、のうのうと生きること。
例え死んだとして、その時まで生を全うしていれば
よしにする。
ああこれが良いと、また、去年と同じ抱負を掲げて、
薄っぺらい紙に筆を滑らせるのだ。
今年の抱負が怖い。達成できぬことが怖い。
ただ余りにも簡単であると、
達成した後の日々が灰色になってしまう。
だから、こうする。
「今年の抱負」 白米おこめ
いい文章いっぱい書きたいな
辰の鱗が剥がれる、剥がれる。
風に舞い散るその輝きに目を奪われている間に、
硬い深緑に覆われていたその下の眩い白が現れる。
きらりひらりとその身をうねらせて、
地上へと向かい、散りながら小さくなっていく。
とんとその身が地に這う時には、
一匹の龍は白蛇へと変幻していたのだ。
「新年」 白米おこめ
さっきまで、昨日が今日であったように、
去年が今年であったように、
何も変わらないまま、ずっと、貴方を愛しています。
凡庸だけど、貴方にとっての一年が幸せでありますように。
「良いお年を」 白米おこめ
ああ今年を切り刻んで、人生ゲームにしてしまおうか!
成人し、試験に合格し、学校を卒業して、就職した!
目まぐるしいったらありゃしない!なぁ、凄いよ!
よく頑張ったな!なぁ、よく頑張ったよ!
今年だけで人生ゲームができちまうんだから!
「1年間を振り返る」 白米おこめ
激動の年を過ごした私達に拍手を送りましょう
手ぶくろを片方だけ失くす天才の手を、
自分のコートのポケットに捩じ込んだ。
分かってやってるんだか、分かってないんだか。
彼女の顔を見ると、嬉しいような、恥ずかしいような、
そんな絶妙なはにかみ顔をしているもんだから、
僕はいつも許してしまうんだ。
「手ぶくろ」 白米おこめ