ああ今年を切り刻んで、人生ゲームにしてしまおうか!
成人し、試験に合格し、学校を卒業して、就職した!
目まぐるしいったらありゃしない!なぁ、凄いよ!
よく頑張ったな!なぁ、よく頑張ったよ!
今年だけで人生ゲームができちまうんだから!
「1年間を振り返る」 白米おこめ
激動の年を過ごした私達に拍手を送りましょう
手ぶくろを片方だけ失くす天才の手を、
自分のコートのポケットに捩じ込んだ。
分かってやってるんだか、分かってないんだか。
彼女の顔を見ると、嬉しいような、恥ずかしいような、
そんな絶妙なはにかみ顔をしているもんだから、
僕はいつも許してしまうんだ。
「手ぶくろ」 白米おこめ
貴方にとって何でもない日をお祝いしよう。
私にとっての神様は貴方だから。
「イブの夜」 白米おこめ
クリスマスプレゼントは貴方の好物がいいな。
今日の夜中に枕元に置かないと。
あなたへの贈り物、ねぇ、ねぇ、喜んでくれるかな。
目を覚ましたあなたはどんな顔をしてくれるかな。
ぎゅっと箱の中にしまって、
腕を折り畳んで、脚を折り畳んで、
わたし中から蓋をするの。
箱にも物にもリボンを沢山巻き付けているよ。
開ける時にちょっと大変なくらいが楽しいでしょ?
ねぇ、ねぇ、ワクワクしてくれるかな。
私そうやって今日は冷たくて暗いところで
小さく小さく丸まって眠るの。
あなたのために一晩だけ我慢するの。
きっと起きたら、暖炉の前に私を翳してくれるよね?
明日からはきっとあなたの側に置いてくれるよね?
こんな冷たい箱越しじゃなくて、あなたと目を合わせて、
毎日一緒に過ごせるよね?
だからサンタは私を箱に詰めたんだよね?
この箱が段ボールでも関係ないよね?
明日がゴミの日なんて関係ないよね?
私もう一回、あなたのプレゼントになれるんだよね?
「プレゼント」 白米おこめ
ぷかりと浮かぶ黄色を指でつつく。
人差し指と中指を交互に、横断歩道を歩くようにして。
沈めばすぐぽわんと浮かぶ黄色。
表面はでこぼこしていて、整備されていない
田舎のアスファルトのようだ。
湯気に混ざる柑橘の香りを胸いっぱいに吸いながら、
窓を開けて初雪を眺め、白い息を吐く。
風に舞って入り込んだ結晶と一緒に、
自分の疲れがじんわりと溶けていった。
「ゆずの香り」 白米おこめ