虚書/Kyokaki

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7/7/2023, 4:14:54 PM

【テーマ:七夕】

 七夕の由縁となる織姫と彦星の話を知っているかい?まあ、知っているか否かという話であれば殆どが知っているだろう。
 簡単に言ってしまえば神が着るような凄い服か布を作る女(織姫)にふさわしい婿を探すと、川辺(天の川)に牛の世話をして真面目に働いてる男(彦星)が居て、付き合わせたら遊んでばかり、なので別れさせたら働かずという風に悩みの種となってしまったものの、真面目に仕事をすれば一年に一度会えることにすると、これまで以上に真面目に仕事をやるようになった…というものだ。
 君らはそんな逢引中やもしれん織姫彦星が今日邂逅した天の川は見れたかな。残念ながら私は相も変わらず星が幾つか瞬くか、若しくは一つも輝いていない地域だからね。いつの日か空いっぱいに広がる星や天の川を見てみたいものだ。

 さて、今日…正確に言うなら昨日かな。七夕らしいことはできた人はいるかな。私は残念ながらそんなこともなく夏休みに向けて少々変わった予定で一日が終わったよ。
 例えば短冊。短冊に願い事を書いて笹に飾ること。やった人はいるだろうか。私はこの文を書こうとして初めて七夕だったと気づいたくらい季節感がなかったね。
 短冊についての思い出となれば、中学校の頃のことが挙げられる。そのとき、生徒会だったかな。そのような感じの生徒たちが笹と短冊を用意してくれたことがある。当時の友人と“何書いた?”だ“秘密”などの会話をしたのも随分懐かしく感じるよ。

 七夕は行事の一つ。言い換えれば、己という物語に見出しをつけて紡げる話の一つだ。その物語は自分しか読まない自分だけの本。是非とも好きなように紡いでいくといい。

 今日は遅くなってすまないね。なにしろこのアプリを思い出したのは九時頃、そこから寝落ちして十二時頃、その後風呂から出てこれを書いている。できれば許してくれると嬉しい。なのでSSの練習も辞めておこうと思ったが、折角七夕というテーマなのだから書いてしまおうか。

《追記》
寝てる間にハートめっちゃ増えてるΣ(º ロ º๑)
僕のを楽しみにしてくれてると思うとモチベ⤴️⤴️なんですわぁ
こんな駄文を心待ちにしてくださってありがとうございます(>᎑<`๑)♡

『以下練習用SS』

 今までの夜空や星空とは何だったのだろうか。そう思わされるほど紺色が見えない空を見上げる。
 今日は七夕だ。しかしどうせ一人寂しく仕事をして帰って何もせずに寝るのだ。ならばいっそのこと、と思って休みをとって天の川を見に来たのだ。同じような考えなのか、周りには同じように空を見上げている人々が点在している。
 なかなかな田舎の方にあると言っていた友人の地元に来てよかった。家族連れの二組もこの広大な草原ではあまり騒がしくないように感じる。むしろ適度に聞こえる笑い声が風情をより増幅させているように思えた。

 ふと考える。自分の踏みしめている地球も、あの天の川のうちの一つの星から見れば同じようなものではないか、と。そんなちっぽけな星のちっぽけな人間を気にする人物なぞ、殆ど居ないのではないか、と。
「ふふ。」
 そう考えると気が楽になった。そうだ、元々地球もちっぽけな星なのだから、そこに生きる生物もちっぽけなものなのだ。だから細かいことを気にする必要はないのだ。
「よし。」
 明日は既に休み。少しゆっくりしてから帰って、明後日からまた仕事を頑張ろう。
 たまにはこういうご褒美も良いものだ、そう思って今の気分とは真逆なコーヒーをすすった。

7/6/2023, 10:48:42 AM

【テーマ:友だちの思い出】

 友人との思い出。私には少々難しいテーマと言える。
 私は小学生の頃転校をしたことがある。非常に苦痛だった。まるっきり地区も変わったので知り合いが0人だったことよりは、元々の友人から離れるということが耐え難かった。
 しかし結局転校はした。その結果どうなったか。人に対する情というものが極端に薄くなったのだ。
 つまるところだね、私に友だちの思い出というのは記憶にないのだ。転校前の幼馴染の名前は覚えているのだが、その他の情報が全く思い浮かばない。今友人と呼べる者はいるが、思い出と胸を張って言えるものは少々身バレの可能性があるので控えさせてもらう。

 閑話休題。

 私個人として言うなら、卒業式などの行事で泣ける人々が羨ましいのだ。確かに別れを悲しくは思うのだが、泣けないのだ。そもそも私自身が泣くということに関して特殊な認識を持ってしまっているというのもあるのだろうが、理解と行動は別である。
 恐らくは大きな別れを経験してしまっているが故に行く学校が変わるだけの別れではどうとも思わなくなってしまっているか、またあのような想いをしたくないから無意識に情をかけるのを避けているのか、それは定かではない。

 また少々話がズレてしまったね。私はプロットを作らないためにこういうことが多々あるのだ。許してくれると嬉しい。
 とりあえず、今親しくしている人は大事にするといい。いつ自分か相手が離れるのかも分からないのだから、思い出というのを作っておくべきだ。
 私はそれを作れずに離れたから名前以外忘れてしまっているという事態になってしまっている。それは少し悲しいように思えるのだ。

《関係ない話ではありますが》
 ハートを31も下さってありがとうございます。これからも心に届けられるような文章を書いていきたいと思っていますので、応援してくださると幸いです。


『以下練習用SS』

「あはは!これ遊園地のやつだ!」
 中学校の頃からの友人であ遥がスマホを見せてきたが、それは私が垂れてきたソフトクリームにあたふたしている写真だった。
「ちょっとやめてよ、恥ずかしいなぁ。」
「こっちはお弁当つけてる!」
 遥は私の言うことには耳を貸さず、思い出に浸っているようだ。ため息を吐いた後、漸く見つけた写真を映したスマホを遥の顔の前に持っていく。
「ちょ、なんでそんなの持ってんの!?」
「ふふ、仕返しだよ。」
 遥が体育祭で転んだときの写真。効果は覿面だったようだ。
 明後日、遥は親の転勤で引っ越す。私は明日親戚の葬式に行かなければならないため、今日が最後に会える日だ。
「ねえ。」
「ん?」
「…向こうでも元気でね。」
 本当はもっと凝ったことを言いたかった。でもこれ以外に言葉が思いつかなかったのである。
「そんな今昔の別れじゃないんだからしんみりしないでよ!」
 私を元気づけようと明るい声で言ってくれているので、今昔じゃなくて今生なのは言わないでおこう。
「ありがとう。」
「またいつか遊ぼうね!あ、これ目の前に蜘蛛が降ってきたときの…」
「もう…折角感動してたのに。」
「ちょっと、ごめんって〜!」

7/5/2023, 12:48:21 PM

【テーマ:星空】

 夜というのは、住んでいる地域やよく行く場所によって印象が変わる。
 田んぼが広がるような地域では空のラメが目立っているのだろう。正直羨ましく感じる。私の住む地域は電灯と車が煌めくばかりで地面も黒い、多少の街路樹等はあるものの風情という風情が消え失せているような場所だ。まあ、有り体に言ってしまえば都会の方で星空というべきものが見えない。
 そんな中、冬の夜の帰路で見上げた際に唯一見える星座であるオリオン座。それを見ると自分は生きてきたのだと感じる。あの星の並びがオリオン座であるという知識自体ははるか昔に得たものだ。つまり、それから今までの期間をしっかり辿ってきたのだと思える。
 それは素晴らしいことだ。今の今まで死なずに…事故に遭わず、はたまた自殺せずに進んできたのだから。

 私から言ってみれば、自殺を躊躇うことは臆病ではない。自殺とは扉を開けずに道を逸れてどこかへ向かってしまうようなもの。つまり先にあるやもしれん楽しみが潰えるということ。この先を見たいという想いがあるということ。本能があるということ。
 いいじゃないか。嫉妬、傲慢、怠惰、憤怒、強欲、色欲、暴食、憂鬱、虚飾…七つの大罪や八つの枢要罪。上等だ。
 昨今の日本人は人間らしい欲望というのが薄すぎるというふうに感じる。多少自己のために暴れてこそ、他の動物に滅多にない感情を有した人間の権利だと思うがね。

 話が逸れたが、結局のところ私が言いたいのは星空を見上げると己がこうして生きているのを実感できる、素晴らしいものであるということだ。ただ見るだけでそこまで推測してしまうのは単純に妄想癖なのやもしれんが、たった一つでそこまで思案を巡らすことができると考えるとなかなかに面白いとは思わないか?
 どんなことも視点次第。少し角度を変えるだけで人生が面白く思えるのだ。



『以下練習用SS』

 塾からの帰り道。横にある一車線の道路から指す光が眩しくて目を細めた。
「はぁー…ふふ。」
 手が寒いため、温める目的で息を吐くと白い煙が上がるのが面白かった。何度も何度もそれを試して遊ぶ。
 途中、人とすれ違った。高校生にもなってこんな遊びをしていると思われるのが少し恥ずかしく、顔を下に向けた。
「あ。」
 漸く人影が消え、ふと見上げた先に星を見つけた。あの並びは何だったっけ。小さい頃から星座なんて気にしたことなかったな。
「…よし!」
 名前も知らぬ星座から励まされているように思え、明日の受験勉強も頑張ろうと意気込めた。後であれはなんなのか調べてみよう。それがあの星座への恩返しだろうから。

7/4/2023, 5:47:06 PM

【テーマ:神様だけが知っている】

 彼の秘密は神様しか知らなかった。
 彼は普通の男子高校生だった。私の同級生だった。クラスメイトだった。
 特筆すべきところはなく、まさに平凡。微妙に影が薄く、言われなければ居ないのも気づかなかった。
 それほどまでに、印象が残らない人物だった。

 彼と初めて深く関わりを持ったのは丁度一年程前だろうか。
「じゃ、罰ゲームで──に告るってことで!」
 そうして罰ゲームとして彼に告白した。初めはどうとも思ってなかったのだ。しかしそのまま話していく内に、彼の笑顔や、優しさ、そんなものに触れていき本当に惹かれてしまった。
 きっかけとなった罰ゲームを賭けていた友人にそれを告げると驚きはしたものの応援してくれた。流石叶、私の友人だ。

 彼と何回もデートをした。近くのショッピングモールで洋服を買ったり、ゲーセンでぬいぐるみを取ってくれたり…本当に優しかった。本当に嬉しかった。…本当に。彼は信じていなかったようだけど。
「結愛ちゃん、おいで。」
 今日はここらへんでは有名な神社…というより、ここの地域の人は大体ここで参拝するのだ。まあ、そこへと散歩をする。長い階段の先に石造りの無機質な鳥居、そこから石畳を辿ったの向こうには木でできた社がある。つまり一般的な神社だ。
 社に寄ると、白い蛇が彼の腕に巻き付いた。確か白い蛇は神の使いじゃ…
「結愛ちゃん、ありがとう。ここまでのこのこ来てくれて。」
「え?」
瞬間、社から大きな影が覆い被さった。

「あはっ、本当に大好きだよ。バカで、ノロマな君が。」
 社の奥で咀嚼する下僕を撫でながら言う。嗚呼、本当に愛らしい。これだから人間と関わりを持つのは辞められない。
「次は誰と遊ぼうか。くく、楽しみで仕方がないよ。」

「結愛は本当に良い子で、悩みはなさそうに見えました。だからまさか失踪するなんて…え、特に親しい人?うーん…一番仲がよかったのは多分私だと思いますけどね。ここ一年くらい何回も一緒に近くのショッピングモールで遊んでますから。」