成り損ない

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1/28/2024, 2:50:18 PM

かつて私の故郷であった街への道は、遠の昔に荒れ果てて風化していた。

「寒々しいことだ」
荒れ地となったこの大地の片隅に、ひっそりと残されたこの地には、未だ緑が来た事は無い。

どれだけの時が、この街が滅びてから流れたのだろうか。私の記憶からも、かつてあった騒がしい喧騒は、たしか、ということだけしか思い出せないほど、遠くに消えてしまっていた。

「虚しいことだ」

もはや誰も歩かなくなった街道の石畳は、否、石畳らしきものが、ぽつりぽつりと飛び石のように並ぶほど荒れ果てていた。

それでも、なお石畳には黒々としたシミが残っていた

「悲しいことだ」

暗黒時代と呼ばれた勇者伝説の舞台となった、最後の決戦の地としての名残とも言える、見上げるほどの城壁は、かつて、私も自ら岩を積み上げ、して作り上げたのは黒き巌嶺と呼ばれるほどのものだった。

そう記憶している。

けれど、その役目を全て壊すように大穴が開けられて、小さな瓦礫の山を残すばかりになっていた。


そうして、城壁を超えた先には、いまだに残り続ける青き勇者の旗が、荒野にはためいていた。

「これをあなたが見たら、なんと言うのでしょうか」



1/25/2024, 12:24:16 PM

安心と不安という言葉は、一見すると相反する言葉のように見える。

ところが、意外とそうでもないと思ったりもする。
とは私の持論だ。

その理由は恋愛。

こと恋愛においてでは、両立するように思える。

例えば、

この人と、なんて一緒にいることで芽生える安心。
この人は今何を思っているのだろうと言う不安。

こんな風に恋愛なら、きっと両立すると思うのだ。





1/16/2024, 11:05:21 PM

美しいと思うものを見た。

異世界だからこそ、見れる様な景色。


まるで海を下から眺めるような。

1/14/2024, 2:30:22 PM

「どうして」

どうして、君が。そんな言葉が溢れた。

目の前で血飛沫を上げて倒れたのは、他ならない己の恋人だったもの。

暗闇だと言うのに、ほんの一瞬の銃口の光が写した。
その瞬間、引き金の先にいたのが誰だか分かってしまった。

ワンピースが似合う素朴な……弾丸が飛び交うような戦場には到底、似つかわしくない柔な人だった。

だと言うのに、何故自分が追っている敵と同じ服を着ているのだ。

いや、分かっているだろう?

そんな声が聞こえる。

突きつけられる様に、はっきりと理解する。

ああ、そうか。


君も同じ、裏切り者だったんだ。
僕がスパイだった様に。

だからこそ、言い聞かせよう。

「どうして、か。どうしても、だから」

君を守れると思っていた、任務には、どうして、だけが木霊した。