成り損ない

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かつて私の故郷であった街への道は、遠の昔に荒れ果てて風化していた。

「寒々しいことだ」
荒れ地となったこの大地の片隅に、ひっそりと残されたこの地には、未だ緑が来た事は無い。

どれだけの時が、この街が滅びてから流れたのだろうか。私の記憶からも、かつてあった騒がしい喧騒は、たしか、ということだけしか思い出せないほど、遠くに消えてしまっていた。

「虚しいことだ」

もはや誰も歩かなくなった街道の石畳は、否、石畳らしきものが、ぽつりぽつりと飛び石のように並ぶほど荒れ果てていた。

それでも、なお石畳には黒々としたシミが残っていた

「悲しいことだ」

暗黒時代と呼ばれた勇者伝説の舞台となった、最後の決戦の地としての名残とも言える、見上げるほどの城壁は、かつて、私も自ら岩を積み上げ、して作り上げたのは黒き巌嶺と呼ばれるほどのものだった。

そう記憶している。

けれど、その役目を全て壊すように大穴が開けられて、小さな瓦礫の山を残すばかりになっていた。


そうして、城壁を超えた先には、いまだに残り続ける青き勇者の旗が、荒野にはためいていた。

「これをあなたが見たら、なんと言うのでしょうか」



1/28/2024, 2:50:18 PM