こんなに傷ついてる私を差し置いて、したり顔で去っていくのは無しだろ。
いつもこうだ。
いつもこう。
私は、いつも自分が傷ついてるはずなのに、終わりには向こうが清々してんだ。
なんでだ?
なんで私ばっかり。
振られるなんて思ってなかった。
私達の終わりは、私が決めるもんだと思ってた。
思ってたよ。
私の方が君にいて欲しかったなんて、おかしいな。
前はずっと逆だったはずなのに。
苦しいことは、何もない。
何もない。
言い聞かせても、眠れない夜がある。
私の焔は、もう消えてしまったかもしれない。
でも、あなたの焔はきっとまだ。
誰が私を救うんだろう。
そんなことを、ずっと考えている。
これは期待であり、怠慢でもある。
私は、自分で自分を救いたくない。
きっと他者に委ねずに、己で己を救済することが最も確かな道であるのだろう。
わかっている。
それでも私は、誰かに救われたい。
それは、救われたという目的の達成よりも、誰かが心をかけて、私を想って、私を愛してくれたという事実の方が、よっぽど大切だからかもしれない。
救という字は、求に手を表す攵からできている。
その手は同じ体温であって欲しくない。
惹かれるような熱さでも、冴えるような冷たさでもいいから、どうか。私の手を握って。
あなたが差し伸べる必要はない。
伸ばし続けた私の手を取るだけでいいの。
生きていた時間が、なりたい自分へと爪先を向ける。
生きてきた時間が、有り得ないと警鐘を鳴らしている。
予感が、期待と経験を含むものなら、
きっと人生の期待はなるべく多い方がいい。
「ねぇ、僕の星図見てない?」
「星図なんてなくったっていいじゃない。」
「その口ぶりは、何か知ってるね?教えてごらん。」
「だって、君は空ばかり。」
「しょうがないだろう。魅せられてしまったんだ。」
「そのせいで私は横顔ばかりよ、全く…。私の机の中よ。好きなだけ見たらいいじゃない。」
私の髪を一撫でしてから、彼は机へと向かう。
そんなもので、この気持ちが精算されるとでも思っているのか。
窓の緣に腰掛けて、彼はまた空を見上げる。
罪滅ぼしなのだろうか、星図を持っている手と反対の手は、私の手を握っている。
何度か振りほどいてやろうかと考えて、そして、彼の隣に座った。
絆されているのだ。
それに気づいて尚、私はここに居る。
私の愛は、これでいい。