「世界の終わりに君と」
SNSやテレビなどで「世界が終わる。そして世界が終わる時には世界中に鐘の音が鳴り響く」という情報が流れた。
「嘘だろ?」
僕は、冗談だと思った。
家の廊下を急いで走っている音がする。
ドアが開いて、君が部屋の中に入った。
「ねぇ!君も見た?世界が終わるっていう情報!」
君が言った。
「うん。見たけど。冗談だろ?」
「それが、冗談じゃないみたいで」
「まじで?」
「うん」
「じゃあ、世界の終わりに君は何をしたい?」
「私は、君と世界一綺麗な景色を見たい!」
「じゃあ行こうか」
僕がそう言うと、君は嬉しそうに頷いた。
世界の終わりに君と世界一綺麗な景色を観に来た。
「きれいだね」
「うん」
僕たちは、綺麗な景色をただ見ていた。
「僕は、世界の終わりに君と、綺麗な景色を見れて良かった」
「うん。私も良かったよ」
僕たちは帰宅し、美味しいものを食べたり、二人でゆったりと過ごした。
僕たちは、最後まで一緒にいた。
「僕は、最後の時まで君と一緒にいれて良かった」
僕が呟いた。
「私も君と一緒にいれて良かった」
二人、笑い合っていた。
世界が終わる時を知らせる鐘が世界に鳴り響いた。
僕たちは、手を繋いで、目を閉じた。
そして、何もかも無くなった。
「最悪」
仕事帰りに買い物をして帰宅する途中に嫌いな人を見かけた。
「最悪だ」とつぶやく。
相手も私に気付いたようで、声をかけようとしているのが分かったので、その場を離れた。
その日は最悪な日になった。
「誰にも言えない秘密」
誰にも言えない秘密。それはだれにも言えない。絶対に知られないようにする。
もし秘密を知られたら、私はトボケるだろうな、きっと。
「狭い部屋」
私の実家の自分の部屋は、狭い部屋だった。
小学生くらいの時、親に「なんで、私の部屋は狭い部屋なの?もっと広い部屋に住みたい!」と言った事がある。
「私たちの子供の頃は、自分の部屋がなかったり、もっとせまい部屋だったよ。我慢しなさい」と、
親は私に言った。私は、何も言えなくなってしまった。
思春期の頃、色々な事で悩んでいた。その時は、自分の部屋が狭い部屋で良かったと初めて思った。なぜだか、安心感があった。
それ以来、悩み事があると、安心感を得たり、自分の考えをまとめたりして落ち着く事が多くなり、狭い部屋、自分の部屋にこもる事が増えた。
社会人になり、広い部屋がある一軒家を購入した。広い部屋に住むことが夢だったから。思春期の頃の経験を活かして、1部屋だけ狭い部屋を作った。
私は、これからも狭い部屋で安心したり、落ち着いたりする事があるだろうなと思った。
「失恋」
私は、涙を流して泣いていた。涙をハンカチで拭いても拭いても涙が溢れてくる。
失恋をしたのだった。ショックだった。辛い。好きなあの子が幸せだといいなぁ。と思った。
外は、土砂降りの雨が降っていた。
私の失恋が、この土砂降りの雨で流してほしい。と外を見ながらそう思っていた。
「私、幸せになるぞ!」と自分に喝を入れた。
私は、空き教室を出ていった。