宮平和実

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「世界の終わりに君と」

 SNSやテレビなどで「世界が終わる。そして世界が終わる時には世界中に鐘の音が鳴り響く」という情報が流れた。

「嘘だろ?」
 僕は、冗談だと思った。
 家の廊下を急いで走っている音がする。
 ドアが開いて、君が部屋の中に入った。
「ねぇ!君も見た?世界が終わるっていう情報!」
君が言った。
「うん。見たけど。冗談だろ?」
「それが、冗談じゃないみたいで」
「まじで?」
「うん」
「じゃあ、世界の終わりに君は何をしたい?」
「私は、君と世界一綺麗な景色を見たい!」
「じゃあ行こうか」
 僕がそう言うと、君は嬉しそうに頷いた。

 世界の終わりに君と世界一綺麗な景色を観に来た。
「きれいだね」
「うん」
 僕たちは、綺麗な景色をただ見ていた。
「僕は、世界の終わりに君と、綺麗な景色を見れて良かった」
「うん。私も良かったよ」
  
 僕たちは帰宅し、美味しいものを食べたり、二人でゆったりと過ごした。
 僕たちは、最後まで一緒にいた。
「僕は、最後の時まで君と一緒にいれて良かった」
 僕が呟いた。
「私も君と一緒にいれて良かった」
 二人、笑い合っていた。
 世界が終わる時を知らせる鐘が世界に鳴り響いた。
 僕たちは、手を繋いで、目を閉じた。

 そして、何もかも無くなった。


6/7/2024, 2:22:36 PM