……あ、入道雲…………。
夏休み半ばで見たその雲は、大きな雨や雷を運ぶ。
そこから約1時間後に、一帯は激しい雨に包まれ、雷がなっていた。
突然の雨に走り出す人、持参していた傘を慌ててさし歩く人、自転車をものすごいスピードでこいで走り抜けていく人……私はそのどれでもなかった。
家の中は窮屈で、冷たい。生きる価値すらわからないまま、半端にこの歳まで生きてしまって正直後悔している。
勉強ができなければ罵られて、学校にも居場所は無い。
私にはなにも「特別」がなかった。
クラスの人達は、日々好きなことで話題を広げたりしているけれど、私には趣味も特技もなく、つまらない人間だと認識されているらしい。
…………あの子は勉強ができて、あの子はスポーツ推薦をもらった。あの子は英語が得意で、立派な大学に入学が決まっている。
あの子は読書が好きで、あの子は話すのが好き。
みーんな個性があって、ちゃんとニンゲンなんだ。
……雨に濡れながらゆっくりと進む。
すれ違う人は皆、私をおかしいものだとでも言うような目で見つめてくる。
ここも、居心地が悪い。どこも大して変わらないのだ。結局、個性のないものに居場所はない。
あの瞬間に入道雲が出てよかった。
…雨が降れば、この涙が見られることはないのだから。
君と最後に会った日は……確か、雨が降ってたっけ?
梅雨の時期ではなかったから、天気予報なんて特に気にしてなくて…………2人して傘がなくて、玄関で笑って立ってたっけ。
君とはあんまり話したことなかったから、僕正直嬉しかったんだよ。それに楽しかった。
君がもう少しで引っ越すことなんて忘れるくらいにね。
でもあれから数日、慌ただしかったみたいで顔を合わせることなかったね。
あー、やっぱり 好き の一言くらい言っておけばよかった。
「 今日はなんだか……あいまいな色の空だね。」
放課後、教室。シチュエーション的にはいいものなのだけど、実際、空はよく分からない色をしていた。
オレンジ、いや赤かな?水色も見える気がするし……太陽は見えているのかな。
僕は何も言わず空を見上げる彼女を見つめて、そっと一言。
「 ━━━━━━━━。」
彼女は清々しい顔で笑った。僕はそれが嬉しくて、一緒にまた笑うのだ。
1番好きな花??
…………強いて言うなら、あじさいかなぁ。
思い出なの。大切な、ね!
花言葉は「浮気」。
私がこの花が好きな理由?そうね……あなたなら1番わかってるんじゃない?
自分のやりたいことやって何が悪いの?
お前なんかに人を理解する心なんてないだろうな。
どうせ今だって、心の中で笑ってるんだろ?
こいつ何言ってんだ、バカだろって。
確かに人間にはなぁ、自由に生きる権利があるんだよ!
好きなことして、食って寝て、遊んで、勉強して……
悪さしたきゃすればいい。1番後悔するのは自分だ。
だが……他人を巻き込んでみろ、その他人までお前ごときの後悔に引き込むつもりか?
……お前みたいなやつは、後悔なんてしないんだろうな。例えどんなやつがどんな目にあっても。
今はそれでいい。わからなくていい。
だが人に迷惑はかけるな。おまえは分からないかもしれないが、迷惑をかけられた人は溜まったもんじゃない。
悪さをしたけりゃ、自分だけでやれ。友達も巻き込んじゃいけないんだ。
めんどくさいだろ?……それが世間だ。