……もうどれだけ願っても、君に会うことはできない。
わかってるんだ。ちゃんと。納得もしてるし、何をしても無駄なことも理解してる。
…………でも
でも、ふと思い出して、後悔するんだ。
もっと、話しておけばよかった
もっと、会いに行けばよかった
もっと……もっと。
この数年、やろうと思えばなんでもできた。
俺が弱虫だったんだ。
勝手に恥ずかしがって、独りよがりな思い込みをして。自分に都合のいいように考えて。
「……………ごめん、ごめん……っ」
……今更、涙が溢れてくる。
年甲斐もなくポロポロと止まらない涙に、俺は今最高に悔いていると思い知らされる。
…………また君に会いたい、なんて。
ないものねだり。
「……好きな色、なんですか?」
……好きな色?えーと……
今日は、最近付き合い始めた年下の彼女を初めて自分の部屋に招いた日。
今まで意識したことがない話題を出されて、少し戸惑ってしまった。
「………先輩、青とか好きそうですね、!」
そう、かな?…そういえば考えたこと無かったな。小さい頃は白が好きだったみたいだけど、
ふと部屋の角にある本棚に目を向けると、子供向けの小さなぬいぐるみがいくつか並んでいる。
「あれ、これなんですか?……箱?」
……あ、それ、
彼女が箱を開ける。
「……わあ……、キレイ…」
……それ多分、俺が子供の頃好きだったオルゴール。
随分さびてるし、もう鳴らないかも。
どこか懐かしく思いながら、箱の横についているネジを回す。
「……ほんとですね。音ならない…………けど、」
動きはするみたいだね。
キラキラとした宝石の破片のようなものが無造作に散りばめられた球体が、くるくると回る。
……なんだか、変な音を立てているけど。
「……私、色全部好きなんです。でもでも、特にピンクが好きで!このオルゴール、ピンク多くて私……」
大好きです!!!
飛べない翼は、いらない。
周りの人間の期待と希望が俺を蝕む。
いつだって、傷つくのは俺だった。
できるやつが期待されるのはあたりまえだ。
でも期待があるから失望がある。
期待を持たれた人間は孤独で……あればあるほど、まわりは実績でものをみる。
……いつか、プレッシャーで押しつぶされそうだ。
ここで辞めた時の罪悪感が、恐怖としてまとわりつくことがありませんように。
━━━━━━━もっと高く。
自分の身長よりも高く。
あの子の身長よりも高く。
家の屋根よりも高く。
学校の屋上よりも高く。
あの大きなビルよりも高く。
もっと高く。高く高く………飛んでゆけ。
しゃぼんだまとんだ やねまでとんだ やねまでとんで
………………壊れて消えた。
太陽は今日も明るくて、君の笑顔はまぶしい。
何気ない日。
今日は祭りがあったっけ。
今日は一限目から数学だ。
今日は避難訓練って言ってたな。
でも今日は、あの子に会える。
ココロオドル、今日はいい日だ。