ゆーがめ 普通イカの高校生

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7/4/2025, 6:59:25 AM

『遠くへ行きたい』

もう何もない。
思いもない。
感謝もない。

功績も、
実績も、
私という、
存在も。

忘れられてしまいたい。
消え去ってしまいたい。
どこか遠くへ行きたい。
あなたの中に残らないよう。

誰にも知られず、
密かに、静かに。
まるで
初めから
いなかったかのように。
まるで
私という存在が
夢であったかのように。

私の心が壊れてしまう前に。

7/3/2025, 6:59:13 AM

『クリスタル』


「見っけ」
小さな手で、砂を掘る。
まるくやわらかい
小さな手の上には、
キラキラとした
硝子瓶の破片。

ギラギラと光る太陽の下で
必死になって集める、
砂鉄と硝子。

煌めくクリスタル。
輝くジュエリー。
これが自分の宝物。

毎度、見せてくれる
あなたの瞳は
紛れもない クリスタル。
ずっと私の宝物。

7/2/2025, 7:21:00 AM

『夏の匂い』

風が吹く。
陽が当たる。
虫が飛ぶ。
世界が揺れる。

肌には、
刺さるように陽が差し、
背中や顔には
じりじりと
汗が滲む。

麦わら帽子と
広大な向日葵畑は
未曾有の景色。

ほら、目をつむってごらん。
青い、蒼い、
夏の匂いが
草木 そして花の匂いが。
夏を、告げる。

7/1/2025, 6:56:41 AM

『カーテン』

その隙間から差し込む光には
夏らしさと呼べばいいのか、
部屋の床には一本の線。
休日の昼下がり。
エアコンの効いた部屋で
カーテンを閉めても眩しい光。

カランと鳴るカルピス。
滴る水滴。
大量の種。
やったままの課題。

フローリングの床に、
汗で湿る肌がぴたりと付く。
カーテンの隙間からのぞく、
その光の筋は暑くて。

ふと、窓の外
金魚が描かれた風鈴が
その隙間でチリンと鳴った。

6/27/2025, 7:01:03 AM

『最後の声』

急いで駆けつけた病室。
カーテンレールで仕切られた寝台。
サイドテーブルの華やかな造花。

愛して、
笑って、
泣いて、
共にして。

彼はそっと息を吸って、
告げる。

「ありがとう」

細い声で、彼は言う。
そしてそっと、呼吸が止まる。
一番彼に愛された私は、
涙も流れぬまま。
ただ無言で叫ぶ。

人は、あい で始まり
をん で終わるという。
最後の声はきっと、
最期の をん、
恩だったのだろう。

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