『伝えたい』
教室の端で佇む彼の横顔は、綺麗だった。
バレンタインが近づくこの季節で、気持ちが高ぶっているのだろう。
彼の優しいところが好きだ。
彼の格好良いところが好きだ。
彼の整った顔が、笑貌を見せるとき、
私は魅せられる。
どう思われているのだろう。
そう考えることが多くなる。
もし、好きだと伝えたら、
どう思うのだろう。
寧ろ彼方側から伝えてくれとも夢に見る。
猪口令糖の甘い香りがする。
誰にも言えないこの感情は、
心の中で静かに息絶えていくのだろうか。
伝えたい。
そう思うのは罪なのだろうか
そうして羞恥心と自意識が邪魔をしてばかりいる
『優しさ』
僕は貴方にどう接していただろうか。
ちゃんとまっすぐ関われただろうか。
貴方と手を振ってからの帰り道は
ひとり、一言一句鮮明に思い出して
過去の失言を重ねて
一人反省会をしてしまう。
貴方は僕をどう思っているのだろう。
拙いことを、言ってはいないだろうか。
その心配だけがいつも心に残る。
僕の心には、いつもその凝りが残る。
優しさ を求めて。
優しくできなかった過去の自分へ。
きっと優しくなれない未来の僕へ。
今日の僕が、親切だと思われますように。
優しくないひとだと、思われませんように。
僕が、貴方にも
そして僕自身にも
優しくなれますように。
『もしも世界が終わるなら』
ずっと生きていてほしい。
ずっと愛していたい。
貴方がずっと笑っていられるように
貴方が悲しむことが無いように
貴方がくれたすべてのものを
忘れることがないように
もしも世界が終わるなら
少しずつ終わっていくのなら
明日が来ないのだとしたら
何もない世界には
空白以外に何が残るというのだろう
『君が見た景色』
あなたは、
憶えていますか
わたしと
過ごした時間
わたしは
憶えているのでしょうか
あなたと
過ごした時間
その過去
美しいもの
惨いもの
美麗なもの
苦しいもの
ぜんぶ
ぜんぶ
全部
あなたとの時間
そしてその全てが
わたしであり
記憶の全て
あなたが見た景色が
ずっと色褪せないように
あなたがもう起きなくても
わたしがあなたを
語れるように
『涙の跡』
ただ今日という日を
淡々と生きること
明日という日々を
迎え続けること
そのスピードは
速く、遅く
楽しいことは
まるで風のように
苦しいことは
水中で走るように
過程。
わたしが生きたように
滴る
乾く
そして残る
涙の跡
1日 1ヶ月 1年
足跡みたく。
その一粒を
大切にして
わたしが生きた
跡だから