ゆーがめ 普通イカの高校生

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7/1/2025, 6:56:41 AM

『カーテン』

その隙間から差し込む光には
夏らしさと呼べばいいのか、
部屋の床には一本の線。
休日の昼下がり。
エアコンの効いた部屋で
カーテンを閉めても眩しい光。

カランと鳴るカルピス。
滴る水滴。
大量の種。
やったままの課題。

フローリングの床に、
汗で湿る肌がぴたりと付く。
カーテンの隙間からのぞく、
その光の筋は暑くて。

ふと、窓の外
金魚が描かれた風鈴が
その隙間でチリンと鳴った。

6/27/2025, 7:01:03 AM

『最後の声』

急いで駆けつけた病室。
カーテンレールで仕切られた寝台。
サイドテーブルの華やかな造花。

愛して、
笑って、
泣いて、
共にして。

彼はそっと息を吸って、
告げる。

「ありがとう」

細い声で、彼は言う。
そしてそっと、呼吸が止まる。
一番彼に愛された私は、
涙も流れぬまま。
ただ無言で叫ぶ。

人は、あい で始まり
をん で終わるという。
最後の声はきっと、
最期の をん、
恩だったのだろう。

6/26/2025, 9:07:45 AM

『小さな愛』

大円の中の一輪。
その中央。
それは例えば

薔薇
チューリップ
百合
向日葵

色、かたち、大きさ異なる
花の中で咲き誇る、
貴方を象徴する花。
それは中心であり、
主人公であり、
大きな愛であり、
花束の華である。

小さな愛。
華奢でいい。
色とりどりの中で一輪
美しく咲く
可憐な華。
その花はまるで、
貴方だと言わんばかりに。

6/25/2025, 2:39:51 AM

『空はこんなにも』

教えてください。
その悲劇の真相を。
教えてください。
貴方がどうなってしまったのかを。

襟から白檀。
袖から伽羅。
ほんのりとした香に、
漆黒の正装。
右手には紙袋を。
左手にはハンドバッグを。
涙が垂れたのか、
目元や頬の化粧は崩れ。

涙一つない空。
もう うつし世にはいない貴方に
涙を流して。
今日の空はこんなにも、澄んでいて
まるで嫌味を吐いているくらいに。
私も貴方と、
その空へ昇れればよかったのに。

6/24/2025, 2:38:42 AM

『子供の頃の夢』

儚く。
一瞬にして。
望んだ事実すら
忘れてしまうくらいに。

「ケーキ屋さんになりたい」
「歌手になりたい」
「消防士になりたい」
「宇宙飛行になりたい」
そう何度か唱える。

10年、また10年。
そんな夢は記憶の隅に、
残業を繰り返す。
儚く。
届かないような夢。
その感性の豊かさは
今ではもう
どこかに置いてきてしまったようで。
子供の頃の夢。
ずっと持ち続けていられたら
今 という 未来 は
変わっていたのかも
しれない。

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