『どこにも行かないで』
君の背中を追って、
追い続けて、
手を伸ばして、
走り続けて。
それでも追いつけないから。
君が教えてくれた問題も
君が笑った成績も
全て僕には分からない。
1位になれない僕。
ずっと阻む君。
その君の壁の前で
2位の僕が止まって
主席の君は進む。
進み続ける。
ねぇ、どこにも行かないで。
どこまでも行かれたら
もう絶対に追いつけないから
『君の背中を追って』
毎回、
その1枚の紙を見る度に、
絶望する。
また、今回も2番目。
1位の影に隠れてしまう2位。
どれだけ長い時間机に向かっても。
どれだけ効率と質を求めても。
彼には届かない。
ずっと僕の前を走って、
抜かそうとする僕の行く手を阻み
壁となる。
君はどんどん上に行く。
僕とは違う。
その1点を逃さないから。
君の背中を追って。
追い続けて。
オール5の1位の君を
2位にできる日は来るのだろうか。
『I love』
いつまでも、
愛してる。
そう言えたらいいのに
この こそばゆさが
関係を蝕む
人は みな
好きになって
好かれて
愛し
愛され
深さを知り
奥底を知り
また愛を築く
それが恥ずかしいのはなぜだろう。
誰を愛せど変わらない。
誰を愛でても 私は私。
I love、
その次に you と言える日は
いつなのだろうか
それが今なら
きっと幸せ なのだろう
『美しい』
綺麗
麗しい
見目麗しい
端麗
美麗
優美
華麗
奥ゆかしい
絶佳
雅
五十音しかない音で
これだけの言葉を表せる。
どれも似たような意味だけれど
どれも違う言葉。
それぞれの特有の意味。
そんな文化は、
そう、日本語は
美しい。
『水たまりに映る空』
何があるんだろう。
どんな人がいるんだろう。
どんな匂いで、
どんな色で、
どんな形なんだろう。
ふと、水たまりを見る。
青く晴れた空と、白い雲、
そして まちの風景が水面に映る。
ある人が見れば美しく、
ある人が見れば くすんでいる。
そんな、特別な鏡。
鏡は心。
映し出すそれには、
何があるんだろう。
その中の世界には、
きっと別の世界があるのだと、
ひとは思う。
晴れた空は碧く
浮かぶ雲は純白で。
映る水面は麗しく
太陽は反射して煌めく。
それは、
心まで流してくれた、
水の跡だから。