shio

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12/9/2024, 1:49:06 PM

「手を繋いで」

それは冬の寒い日
窓の外では北風が
音を鳴らして吹き過ぎる
背中を丸め両の腕を抱き締めた

視線の先には
自由の化身
可愛さの権化
わたしの愛しいあの子

窓から差し込む冬の陽光にその身を委ね
ぬくぬくとその温もりを享受している
そっと近寄りそっと顔を埋めれば
太陽の香りが胸いっぱいに広がった

嗚呼 可愛い
なんと 可愛い
手を繋げば
それは幸せ

12/4/2024, 3:38:59 AM

「さよならは言わないで」

貴方を愛していたのよ
それなのに、どうして
どうして私を置いていくの
ああ、神よ
願わくば、
来世でも貴方と出逢いたい
本当に、愛していた

眼前に黒が降りる。
胸を打つこの激情は何なのだろうか。
思いながら、流れゆくアルファベットを眺め、壮大な音楽に耳を傾け「終わり」を享受する。
明転。

映画の終わりは、いつも言いたくなりますね。
「さよならは言わないで」

12/2/2024, 12:48:43 PM

「光と闇の狭間で」

ある時は、たくさんの目に晒されて恥をかく。
ある時は、時間に遅れて冷や汗を流す。
ある時は、見知った人間に怒号を浴びせる。
ある時は、親しき命が掌から散っていく。
そして私は、息の仕方を忘れてしまう。

ささやかな隙間から差し込む陽光に照らされて、はたと目が覚め、ようやく息を吸う。1日の始まりである。希望をすり潰した鈍色の気持ちを胸に抱きながら、ひとり想う。

ーーああ、生きてる。

12/2/2024, 10:51:01 AM

「距離」

 彼はピアノを弾くときに、腕を大ぶりに振り上げて鍵盤を叩く癖があった。わたしはいつもそれを窮屈に思っていたけれど、いくら言い聞かせたって彼のその癖が治ることは終ぞなく、わたしは今も昔もそれに悩まされるのだった。
 ラフマリノフが創りあげた世界を、ふたりの指が紡いでいく。時折、指と指が触れながら。だから言ったのに。今日こそ、その悪癖を治してくれと。ほら、また。

 ーーだからわたしは、この時間を好いている。彼との連弾の、あたたかいひと時を。