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9/21/2024, 2:26:11 PM

#秋恋

 なにとなく君に待たるるここちして
出でし花野の夕月夜かな

(何となくあなたが待っているような気がして、月のとても綺麗な夕暮れに、花の咲く野に出てみたの)

 秋の恋なら与謝野晶子のこの短歌が浮かびます。
好きな人で頭がいっぱいで、じっとしていられない感じ。
会いたくて長い秋の夜。


9/20/2024, 2:28:28 AM

#時間よ止まれ

 止まれというか…いらない時間を溜めておければ良いなと思う。

 あるバイトをしていた時、お客さんが全然来ず、ただただボーッと時間の経つのを待っていて、一緒にいた仲間と時計ばかり見ながらそんな話をしていた。
 まだ何時間もあるよ、この時間を貯金箱か何かに蓄えておいて、好きな時に出して使えたらいいね…。

 今でも退屈な待ち時間があると、その会話を思い出す。
この時間を取っておいて、眠たい朝に使えたら良いなぁ…とか。


9/19/2024, 5:33:16 AM

#夜景

 夜の女神が素敵なストールを編んでいる。
 もう少し華やかさが欲しいな…と思っていたら、下にちょうど良いキラキラがあったので、両手でサーッとかき集めた。
 このビーズを編み込めば、もっと豪華になるはず。

 地上では人間が、あっ停電だ!と慌てている。

9/18/2024, 3:14:14 AM

#花畑

 小学四、五年の頃だろうか、ピアノの個人レッスンに一人で通っていた。
 田舎の町だから先生の家までとても遠くて、自転車を壊してしまってからは、「もう少し早く歩けなかったの」と母に叱られるほど、通うのに時間がかかった。
 それもそのはず、私はいつもこっそり寄り道していたのである。

 寄り道の先は細い農道の先に偶然見つけた、人気のないれんげ畑だった。
ピンクの花畑に座り込んで、次々れんげを摘んでは大きな花束を作り、作った花束は道中の祠にお供えして、何食わぬ顔で家に帰った。
 ある日れんげが全部なくなっていてがっかりしたが、後には綺麗に水が張られて苗が植わり、稲がそよぎ始めた。
 ずっと誰にも会わなかったし、どれだけぼんやりしていても、鼻歌を歌っても、バカみたいにくるくる回っても大丈夫な、私だけの秘密の場所だったのだ。
 
 たぶん家に帰りたくなかったのだなあ…と思う。
ピアノは大嫌いだったけれど、ギスギスした雰囲気の家がもっと嫌だった。
 やがて両親が離婚すると、あの町から離れることになって、ピアノもやめてしまった。

9/16/2024, 10:36:28 PM

#空が泣く

 空がこっそり泣いている。
こんなに晴れた青い空に、ポツンとちぎれた涙型の雲。

 いつも明るいあの人だって、きっとどこかで泣いているでしょう。

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