山本

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4/5/2024, 12:41:20 PM

星空の下で

父が唐突に「今、僕たちが見てる星は何百年も前の光なんだ。」と言った。息子は「何百年…星はそんなに長く光り続けているの?」と聞く。「そうだぞ。星は止めることなく光り続けている。今も、ずっと先も。」と父が言った。「そんなに光っていて疲れないのかなぁ。」と息子は言った。父は少し考えて、「疲れないと思うよ。」とこたえた。「なんのために光っているんだろう。僕だったら光るの嫌になっちゃうなぁ。」と息子は言った。「僕は、あの星達はなにかのために光っているわけじゃないと思うよ。星は誰かの光になることができる。もちろん、それは星じゃなくてもできる。でも、暗闇の中を自然に照らしている星だからこそ響くものがあると思う。だから、星になって無意識に誰かを照らし続けるのもありだと考える。」と父が上を見上げながら言った。父は続けた。「これからの人生、困ることや迷うこと、苦しいこと、悲しいことがいっぱいあると思う。その時には、僕のところに休憩しにきてほしい。2人だけの約束だよ。」息子には父がなんでそんなことを言うのかわからなかった。そうしていると、母が来て「早く寝るよ。明日も学校あるからね。」と言った。母と息子はすぐに家に入ったが、父は家に帰ってこない。
そこで、目が覚めた。この夢を見るのは何回目だろう。僕と父親の最後の会話だった。僕は約束を守ろうと、ほぼ毎日父を探した。でも、見つからない。どこに行ってしまったのだろうか。あの日、あの星空の下で話したこと、それからのこと全てを父と話したい。会いたい。また、あの星空の下で。

4/4/2024, 1:46:08 PM

それでいい

「それでいいなんて言われても困るんだけど」私はキーキー声でどなった。「だって僕じゃわからないし」夫が弱々しい声で言った。なんでいつもそうなるのだろう。せっかくのデートなのに。夫とデートし、選んで貰ったものは私にとって宝物だから、何を選んでくれてもいいのに。それでいいって、私のことがどうでもいいみたいじゃん。徐々に涙目になっていくのがわかった。こんなところで泣きたくない。そう思って、トイレに駆け込んだ。

「それでいいなんて言われても困るんだけど」妻にどなられた。「だって僕じゃわからないし」僕は女性のファッションに疎いせいか、妻から服を選んでと言われるたびに困ってしまう。そんなに悩むことの何が楽しいのかわからない上に、つまらないことに何時間も取られてイライラしていた。だから、つい口走って、それでいい、と言ってしまった。妻が涙目になっていくのがわかる。僕が何か言わないと…なにを言おうか考えているうちに、妻はトイレに駆け込んで行ってしまった。

4/3/2024, 1:02:54 PM

1つだけ

「1つだけ言いたいことがある。」別れ際に彼は言った。私は「何?」と返す。いつもと変わらない別れなのにそんなに改まってどうしたのだろう。私はいつも通りの顔をした。彼はそんな私の顔を見て悲しくなったのか「やっぱいい。」と言った。私は「なんで?何か言いたいことがあるならいいなよ。」と言うと、彼は何かを我慢した様な顔で「ごめん。」と返してきた。彼は口を開くたびに悲しそうな、つらそうな顔をした。もう付き合って3年なのに今の彼の顔から感情を読み取ることはできない。読み取ることができないのではなく、彼が読み取らせない様にしているのだ。そんな事を思ったら何を言おうとしたかなんとなくわかった。もう彼には残された時間がないのだ。
付き合って最初に彼から言われた言葉を思い出す。
「1つだけ言わせて」
最初の方は彼の改まって言われた言葉に嬉しかったが、1つだけが続くたびに嫌になってきていた。
「1つだけ聴いてほしい」
「1つだけお願いがある」
「1つだけやりたいことがある」
全部彼が私に伝えたかった事だ。
今、彼が何を言おうとしているかわかっている。
彼の言葉が脳裏に響く。1つだけ…

全然1つじゃないじゃん。そう思い、視界が曇る。気がづいたら彼は私の目の前から消えていた。
1つだけ…1つだけ…

4/2/2024, 1:00:31 PM

大切なもの

 大切なものってなんだろう。
 今日、道徳の授業で大切なものついて考えた。それは命をもとにしたものだった。教科書には子供の命を事故で亡くした母親の話が書いてあった。その母親は子供を亡くした時「この世の中で一番大切なものは愛する人の命だと思っている。だからこそ、愛する子供の命を自分の命をかけて守りたかった。」と思ったそうだ。私にはそんなふうに思ってくれる人はいない。その物語を読んでいてどれだけ羨ましいと感じたことか。妬みと恨めしさでぐちゃぐちゃになった。なぜ、自分がこんな思いをしなければならないのか。悪いことは何もしていないのに。
 クラスでいじめられ、友達もいない私には大切な人の存在がいまいちよくわからない。神様は私に大切なものを教えてくれなかった。大切なものを知るチャンスすら与えてくれなかった。人間皆平等というが、そんなことないと思う。もし、平等であるならば大切なものについて教えてほしい。そして、大切なものを感じたい。

1/25/2024, 2:34:03 PM

安心と不安

不安と安心は真逆だ。
人は誰でも安心したいと思っている。少しでも、不安を取り除ければ、と。不安を取り除いて安心したい。不安を取り除いてくれる人を求めている。心の奥深くにある黒くて醜い物体。どうしたら取り除けるのか。誰なら私を黒くて醜い物体から守ってくれるのか。私は誰なら守れるのか。

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