山本

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星空の下で

父が唐突に「今、僕たちが見てる星は何百年も前の光なんだ。」と言った。息子は「何百年…星はそんなに長く光り続けているの?」と聞く。「そうだぞ。星は止めることなく光り続けている。今も、ずっと先も。」と父が言った。「そんなに光っていて疲れないのかなぁ。」と息子は言った。父は少し考えて、「疲れないと思うよ。」とこたえた。「なんのために光っているんだろう。僕だったら光るの嫌になっちゃうなぁ。」と息子は言った。「僕は、あの星達はなにかのために光っているわけじゃないと思うよ。星は誰かの光になることができる。もちろん、それは星じゃなくてもできる。でも、暗闇の中を自然に照らしている星だからこそ響くものがあると思う。だから、星になって無意識に誰かを照らし続けるのもありだと考える。」と父が上を見上げながら言った。父は続けた。「これからの人生、困ることや迷うこと、苦しいこと、悲しいことがいっぱいあると思う。その時には、僕のところに休憩しにきてほしい。2人だけの約束だよ。」息子には父がなんでそんなことを言うのかわからなかった。そうしていると、母が来て「早く寝るよ。明日も学校あるからね。」と言った。母と息子はすぐに家に入ったが、父は家に帰ってこない。
そこで、目が覚めた。この夢を見るのは何回目だろう。僕と父親の最後の会話だった。僕は約束を守ろうと、ほぼ毎日父を探した。でも、見つからない。どこに行ってしまったのだろうか。あの日、あの星空の下で話したこと、それからのこと全てを父と話したい。会いたい。また、あの星空の下で。

4/5/2024, 12:41:20 PM