NoName

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2/3/2024, 10:29:55 AM

どれくらいの時間が経ったのだろう。
1番最初の記憶は、もう上手く思い出せない。僕はただ気がおかしくなるほどの時間を過ごしている。同じ時代を、永遠に。
僕はひとつの時代に閉じ込められていた。僕はある時から、死ぬと、とある同じ地点の自分に戻るということを繰り返していた。
今がそうだ。12歳の誕生日の日に戻っている。
この世界は僕に何を求めているのだろう?神がいるのなら、神は僕に何を求めているのだろう?
何万回したかわからないため息を吐く。何回目の人生なのかわからない。
何を変えればいいのかも、なぜ12歳の誕生日なのかも、分からない。
やれることは全て試した。
母親が死なないように原因となる車の窓ガラスを割って妨害したり、はたまた母親が死ぬ道を選んだり、これから起こる事件を人が死ぬ前に解決したり、大災害が起こるとじぶんのしうる色々な方法で伝え死人を最低限に抑えるようなこともした。でも、なにも、変わらない。窓から身を投げても、自殺を何度試みても、同じ地点に戻る。ふざけるな、ふざけるな、とうわごとのように呟く。肉体は傷一つないからだに戻っても、精神はとうに狂ってしまっている。世界は僕に何を求めているのだろう。
僕は1000年ほどこうして過ごしているのではないかと感じていた。実際は300年くらいだろうが頭がおかしくなるには十分な時間だ。
あぁ、誰か教えてくれ。僕はこれからどうしたらいいんだ?どうしたら死ぬことが出来るのだろう。僕は100年目あたりから、もう死ぬために生きていた。永遠の生など呪いでしかない。
「だれか、だれか教えてくれよ、いるんだろ?見てるんだろ?」そう呟いても、やがて声の余韻が消えていくだけだった。

2/3/2024, 1:47:53 AM

「おお英雄様のお通りじゃないか。いい身分だねぇ、チヤホヤされたいんだろ??」
今日も特徴的な黒髪の頭を見つけて瞬時に頭を回転させ考えた嫌味をぶつける。
こいつはいつも僕に構ってもらえて感謝するべきだと思う。またやってる、喧嘩になるぞと周りの生徒は巻き込まれたらたまらないと足早にこちらをちらちら見ながら通り過ぎる。
だが相手はこちらも見ずに無反応で通り過ぎる。
つまらない、つまらない。何なんだ。
取り巻きの赤毛がププと笑ってべっと舌を出してきた。
頭に血が上る。こいつじゃなく以前まではあの黒髪がくるりと振り返ってこちらを見たのに。あの大層な瞳が怒りであつく燃えるように揺らめいて、しっかりと僕を映していたのに。
最近は無視という手段を彼奴は殆ど取っている。それが本当に気に食わない。
反対にいた取り巻きの女は対照的に1度ちらりとこちらを憐れむような目で見てくるりと前を向いて黒髪の腕を持って引っ張るようにスタスタと歩いていってしまった。それを見た赤毛が待てよ〜と追いかける。
取り残された僕は怒りと羞恥で顔を赤くしながら「クソッ!おい、お前たち!行くぞ!」と言ってものすごい速度で歩き去る。
なぜこんな小物の代名詞のような台詞を吐いてしまうんだろうかと頭の隅で思ったが、今はこの場を立ち去ることが先決だった。

次の授業は空きコマだったので取り巻きの奴らが食堂へ行こうと行ってきたがそのような気分になれなかったため、用事があるから先に食べていてくれとだけ言い残してスタスタと歩く。誰もいないところへ、誰もいないところへ行きたかった。
すれ違う生徒が少なくなってくる。そしてしいんとしたトイレに入る。誰も使っていない女子トイレに入る。

「クソッ」と言って壁を叩く。
むしゃくしゃした気持ちを落ち着かせたかった。
気持ちがある程度落ち着いてきたのでため息をついてくるりと踵を返そうとした。
ーと
いきなり嘔吐感を感じ焦る。個室に行くのに間に合わなかったため洗面台の方へ行きせり上がったものを吐く。
「………は?」
吐いたものを凝視する。
儚げな美しさをたたえる、青い小さな花だった。それが無数に散らばっている。
なんだこれ、なんだこれと頭が混乱した。
そして吐いたものをそのままに踵を返して早歩きで歩き出す。意味がわからない。なんだこれ。誰かの悪戯か?気持ち悪い。
歩く速度が速くなる。
とにかく今はあの青い花から1歩でも離れたかった。

2/1/2024, 12:49:39 PM

ブランコに座る
ゆらゆら揺れるその揺れを見る。
彼が歩いて隣に座る。
美しい瞳が光を受けて輝く。
「 ちゃんどうしたんだい?」
困ったような顔をしてこちらを見る彼の瞳。
ああなんて優しいんだろう、そしてなんて綺麗なんだろう。
「…うるさい!!!」
私はなぜ素直になれないんだろう。素直になれたら楽なのに。
彼はただ黙って寂しそうに笑う。涙が出てくる私の瞳にそっと手を伸ばして拭ってくれる。
ぽろぽろ、ぽろぽろ涙がこぼれる。
彼はそっと何も言わずに頭を撫でてくれる。
その優しさに甘えてしまう。全てを彼に委ねたくなってしまう。
でもきっとそれは許されないことなのだ。それだけはしていけないことなのだ。
自分に言い聞かせても、うまくいかない。涙はこぼれる。ブランコは揺れる。
彼はいつまでも美しいままだった。