青羅紗

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12/15/2024, 10:21:25 AM

「雪の降る頃に戻る」
と貴方が言ったから、私は縁側で何度目かの冬を越しました。
その間、雪は一度も降らなかったけれど
私はなんでも良かった。
貴方が帰って来てくれるのなら。
私の心はダクダクと音を立てて、歓びに満ちることでしょう。
しんとした庭に独り言が落ちた。
郵便屋のスッとした声が庭の石を弾いて、玲瓏と響く。
「旦那さん、帰ってくるといいね」
郵便屋が帰りがけに呟くように言う。
期待していない声だった。


私は今日も、雪を待つ。


「ただいま戻りました」

12/14/2024, 4:44:08 PM

「また来年来ようね」
そう言った貴方の顔は、どんなイルミネーションよりも輝いていて美しかった。
あの時、もし私が貴方の手を取れば
共に歩んでいれば、何か違ったのだろうか。
冷たい海に涙が溶けてゆく。
震える手で、空を掴んだ。

12/13/2024, 5:07:15 PM

愛を注いで溢して
愛を注いで受け止めて
愛を注いでゴミ箱行き
愛を注いで返された


愛はなんと脆くて安いのだろう。
今だってホラ
そこかしこに落ちている。
お前のその姿こそが、愛なのだ。

12/11/2024, 1:00:03 PM

私の為に死んでください。
私の為に無様に死ぬ様子が見たいのです。
その綺麗な四肢が投げ出され、他の人間と同じ、ぼろ切れのような姿になるのが見たいのです。
けれど、美々しく命の灯火を燃やす貴方はとても輝いてみえる。
その姿はこの世でいちばんに見えるけれど、憎らしくもあるのです。
だって貴方は決して私のことを見ないから。
私の胸がきゅうと締め付けられる感覚を、貴方はマッタク知らないのでしょう。
だから、私のために死んでください。

11/6/2024, 4:55:26 PM

君が知らない男の嫁になると聞いて、私がどんな思いだったか、君は知らないだろう。
男の暖かい腕の中で眠る心地はどんな風だろうか。
私は君の傍で暖かく過ごしていたかった。
ずっと優しく寄り添ってくれていた君は
私に飽きたのか、友達として話してくれる事もなくなった。
君の結婚式の日
私は君を遠くから祝福することしか出来なかった。
生まれ変わったら
君を包む、柔らかい雨になれたらいいな。






結婚式の日
家のポストに入れられた合鍵
優しく微笑みながら、遠くから私の事を見ている貴女。
私は貴女と幸せになりたかった。
ほんとうよ。
もし、生まれ変わることが出来たなら
どんな姿になっても、貴女の傍で眠りたい。
暖かい貴女の傍で。

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