初めて出会った日
貴女の瞳は春爛漫と輝いていて、爽やかな風のようだった。
艶やかな髪もすらっとした手足も、私にとっては全てが神様のようで、どうやっても届かない存在なのだと知らしめてくれる。
けれど、私がプレゼントしたリップやマスカラをつけている時だけ、私と同じ俗物に成る。
ずっと、私だけの神様だった。
そうある筈だった。
けれど、貴女は私の事をただのチビな肉塊だと思っていて
私のことは何にも知らなかった。
興味がなかったのだ。
男にばかり縋って性を武器にして生きていく様は惨めで、私なんかよりも底辺のように思えた。
貴女は私の傍にいる時だけ輝いているのだ。
私のような俗物が傍にいるから、輝いて見えるのだ。
引き立て役でも構わなかった。
貴女が美しく輝けるのなら。
それなのに何故、貴女はあんな男の為に死んでしまったのだろう。
私は、貴女の墓石に桜の花弁を飾ろうと思う。
こぼれ落ちるほどたくさん。
それから、一緒にお花見をしよう。
桜に囲まれる貴女は、きっと桜より綺麗だから。
私の本当の神様
教会の鐘が鳴る。
周りの人間が嬉しそうに、にこやかに拍手をしている。
私もそれに応えるようにして手を振る。
爽やかな風が吹いていた。
一瞬、足元に穴が空いたような感覚がして躓く。
参列者が話す声が聞こえて、その直後に足の痛みが出てきた。
「わ、ッ……大丈夫?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら起き上がると、手がさしのべられた。
黒い手だった。
おかしいな。私の夫は白雪姫と揶揄されるような白い肌だった筈なのに。
私の手を掴んだ手は、物凄く力が強くて少し骨が軋んだ。
となりにいる真っ黒な生き物は誰……?
ここ、どこ?
結婚式中に異世界転生した話
嗚呼、幸せになりたい。
貴方を置いて幸せになることは、私には出来ないから
未だに私は不幸な女のままだ。
老いてヨボヨボになってもきっと、私は不幸なのだろう。
貴方の傍にいて幸せにならなければ、意味が無いのだから。
君と見た虹は
鮮やかで、輝いていて
冷たかった。
夜の動物園で、君と手を繋いだ。
私が「寒いね」と言ったから。
いつも通りに手を繋いだ。
高校で出会ってから五年半。
同性だから何も気にせず話してくれる君は
私の親友で、好きな人だった。
あたたかいココアを二人で飲みながら寄り添い合う。
これからはきっと、君は就活で忙しくなって
君には好きな人が出来て私と遊ばなくなって。
けど、この寒い夜を一緒に過ごせるなら
私は何だって構わない。
好きだとは言えないけれど
傍に居させてくれるのなら。