私たちはいつから〝男〟と〝女〟になったのだろう。
何故他人は少し大人になった辺りから
友愛から性愛に切り替われるのだろう
私たちはただ、木漏れ日の中で眠って
たまに遊んで、辛いことや楽しかったことを話せたら
何でも良かったのに。
男女でくっついているだけで「付き合ってるの?」と聞かれる。
二人の関係に名前が無ければ世間は納得しないらしい。
なんて窮屈な世界だ。
この窮屈から逃げ出せたなら
私たちはきっと、どこへでもゆける。
海の底でも、あの美しい月にだってゆける。
今はただ、一緒に夢を語りたいだけ。
初めて出会った日
貴女の瞳は春爛漫と輝いていて、爽やかな風のようだった。
艶やかな髪もすらっとした手足も、私にとっては全てが神様のようで、どうやっても届かない存在なのだと知らしめてくれる。
けれど、私がプレゼントしたリップやマスカラをつけている時だけ、私と同じ俗物に成る。
ずっと、私だけの神様だった。
そうある筈だった。
けれど、貴女は私の事をただのチビな肉塊だと思っていて
私のことは何にも知らなかった。
興味がなかったのだ。
男にばかり縋って性を武器にして生きていく様は惨めで、私なんかよりも底辺のように思えた。
貴女は私の傍にいる時だけ輝いているのだ。
私のような俗物が傍にいるから、輝いて見えるのだ。
引き立て役でも構わなかった。
貴女が美しく輝けるのなら。
それなのに何故、貴女はあんな男の為に死んでしまったのだろう。
私は、貴女の墓石に桜の花弁を飾ろうと思う。
こぼれ落ちるほどたくさん。
それから、一緒にお花見をしよう。
桜に囲まれる貴女は、きっと桜より綺麗だから。
私の本当の神様
教会の鐘が鳴る。
周りの人間が嬉しそうに、にこやかに拍手をしている。
私もそれに応えるようにして手を振る。
爽やかな風が吹いていた。
一瞬、足元に穴が空いたような感覚がして躓く。
参列者が話す声が聞こえて、その直後に足の痛みが出てきた。
「わ、ッ……大丈夫?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら起き上がると、手がさしのべられた。
黒い手だった。
おかしいな。私の夫は白雪姫と揶揄されるような白い肌だった筈なのに。
私の手を掴んだ手は、物凄く力が強くて少し骨が軋んだ。
となりにいる真っ黒な生き物は誰……?
ここ、どこ?
結婚式中に異世界転生した話
嗚呼、幸せになりたい。
貴方を置いて幸せになることは、私には出来ないから
未だに私は不幸な女のままだ。
老いてヨボヨボになってもきっと、私は不幸なのだろう。
貴方の傍にいて幸せにならなければ、意味が無いのだから。
君と見た虹は
鮮やかで、輝いていて
冷たかった。