確か何年か前のNHKで
好きな旅番組があった。
毎回いろいろな買付人が、
世界のあらゆる場所を訪ねる。
各々がずっと探し求めていた
素敵なものや美味しいものなんかを
スタジオゲストとして招かれて紹介するような
そんな番組だったとおもう。
スタジオには、ゲストの他に2人のMCと
声だけの出演として声優さんとが
面白おかしく、そして楽しく進行していた。
買い付けというだけあって、
自分が体験できないようなものばかりで
それはそれはお洒落で華やかな時間だった。
私とはかけ離れた世界観
そんな番組が大好きだった。
最後まで大好きな空間と時間だった。
でもそれは突然で、あまりにも突然で
今でも実感がわかないのはきっと、
一度しか行けない遠いところへ
彼が買い付けにいってしまったと
ずっとおもってるからなんだよなあ
(遠くの街へ)
ナイトルーティン
夕御飯は外で軽くすませた週末
まずはお風呂
温度はぬるめであちこちにキャンドルを配置
ムスクみたいな甘い香りに包まれる。
ゆっくり湯船につかりながら
大好きな音楽がテンションをあげる
癒しきった身体は水分を欲しがるから
500ミリの水を一気に飲み干した
冷蔵庫をあけたら
チーズとサーモン、トマトがあった
ちょっと面倒だけど生春巻きを作ろうかな
それで、作りながら飲むビールが
最高なんですよ、本当に
あ、ネイルはげてる笑
いついけるかな?また予約しないと
春だから次はピンクにラメ入れたいな
って感じの動画に憧れを持つ
広瀬アリス監修のエアリアル餃子味
あと3個で完食する女の話
(現実逃避)
あの日、私は出会ってしまった。
それはとても美しく、
すれ違うときに起こる風は
何ともいえない甘い香りがした。
振り向いた瞬間、
目が合ったような気がした。
私は思わず目を逸らした。
本当は気になって仕方がない癖に。
少し距離を置いたが、もう我慢できなかった。
小走りでさっきの場所まで戻る。
居た。ちゃんと居てくれた。
腕を掴み、躊躇なく家に連れて行った。
2ヶ月前の話
それは今、冷たく暗い野菜室の中
林檎
(君は今)
今日も1日がはじまる。
そしてそれは、
粛々と淡々、ゆっくりと慌ただしくを
交互に時間が過ぎていく。
同じようなタスクをこなし、
変わり映えもしない似たような日々に時々
胸を抉られるような知らせが入る。
訃報
耳の奥がぐわんぐわんなり、
頭の中が痺れる
テレビからは笑い声、
パタパタと動き回り、
この状況に対応できない私は
なぜか膝掛けを畳んでいた。
ここだけが
カプセルに閉じ込められたような
閉鎖的な感覚から逃れるように
外に出て今を確かめる。
下校中の子供達の声と
近所の大工工事の音
少し眩しく暗い空を
私は見上げた。
(物憂げな空)
よく見るSNSで
もの凄く素敵な文字を書く人がいる
いろんなタイプの文字書きさんがいて
よく♡つけるのは筆が踊るように書く人
自分でもいけんじゃないかと思うけど
まあ書けない、見事に
もしも、
あの筆の一本一本に
意思があったなら
傑作が出来そうな気もするが
想像すると恐ろしくキモい
集合体はゾッとして震える
書き手の意思による
才能と感覚でまとまり
作品が出来上がる
よかったよ
個々で動き出さなくて
(小さな命)