未来莉つき

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12/22/2024, 8:25:46 PM

〔ゆずの香り〕

柚木(ゆず)、という木がある。その木は、私にとって一番大事で、大切なもの。
んーと、経緯と理由を説明したいな…。まず、私の好きな人について話すわね。

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私の好きな人は、柚希(ゆずき)という男の子で、一応幼稚園からの幼なじみなの。
柚希だから、私はよく『ゆず』と呼んでいたわ。本人も結構嬉しそうだったしね。今考えると、自分の名前の由来を知っていたからだったかもしれないと思う。
ゆずの誕生日は5月25日。この日の誕生花は柚木。
柚木の花言葉は「健康美」「汚れなき人」「恋のため息」。暗い意味は無く、どれも良い花言葉。
ゆずはこの花言葉の通り、純粋で一途、明るく人気者だった。
ゆずのお母さんは、誕生花からゆずの名前を付けたって言ってた。花言葉まで考えてたかは分からないけど、そうであってほしいな、と思う。
ゆずに聞いても、何もつけてないって言ってたけど、ゆずが通った後には、ふわっと柚木の良い香りがする。
私は、その香りがすごく好きだった。
けど、そんな楽しい生活にも終わりは必ず来るもので、小学校6年生の2学期には引っ越す事が決まった。
引っ越す先は、すごく遠い場所だった。私は直感で、『あぁ、私はもうゆずに会っちゃいけないんだ』と思った。
その時はただの直感でしかなかったけど、今になると神様か誰かが良心で教えてくれたのかな、と思わなくもない。
別れる時、私はゆずに言ってしまった。
『ねぇゆず、私ゆずが好きよ。ずっと好き。…私の事、忘れないで。』
なんだか恥ずかしくて、悔しくて、答えは分かってるから悲しくて。思わず言いながらぼろぼろと泣いてしまった。
でもやっぱりゆずは優しいから、
『今は付き合えない。でも、大人になってもしもどこかで会ったら、それとその時もまだ僕の事が好きだったら、絶対に付き合うよ。あと、『忘れないで』なんて言わなくても、絶対に忘れないよ。だって…』
しばらくもじもじとしていたけど、ゆっくり私に近づいてきて、耳元で『…大好き』なんて言葉をボソッと言った。
思わず『え、?』なんて言ってしまったけど、ゆずの顔が少しずつ赤くなってるのを見ると言葉に信憑性が出てきて、こっちまでとっても恥ずかしくなった。
その後は、すぐ2人で『またね』って言って別れた。

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あれから8年。
私は大人になって、会社員になった。
私は今でもゆずが好き。ゆずのおかげで柚木も好きになった。
今まで1度も、ゆずを見かけた事は無い。

私は道を歩いていた。ただ、それだけだった。
ふと、柚木の香りがした気がした。
だから、振り返ってみたの。
…でもやっぱり、そこにはゆずは、いなかった。

12/21/2024, 11:47:03 AM

〔大空〕
中国アニメ見た後だから文章が中国(翻訳)っぽいかもしれませんが許してください…(苦笑)

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人の心とは、本来こういうものであるべきだ。
…と、哲学風に言っても、人の心は変わらないし、なんなら自分の一声で何かが変わるとも思っていない。
まぁ、だが、人の心がこんな風に綺麗な青空のようで、かつ広く大きい大空のようだったら、どれだけ世界は豊かになるだろう。
そんな考えを、頭によぎらせてみる。だが、どれだけ想像したとて現実は変わらない。
人間は醜いものだし、最低な屑は多い。
それがこの世界だ。きっと、これからもそれが変わる事はないだろう。
それが変わる事があればそれは、この世界がこの世界ではなくなる日だ。

さて、こんな事を考えているが、わたしが最初思っていた事は、『空が綺麗だな』という事だけだ。いつの間にか何やらおかしな事を考えていたが、空が綺麗だと思ってな。
うん、やはりこの世界の空は綺麗だ。
広く大きい。そして青い。なんという美しさだろう。
この大空を、わたしは忘れたくない。そして、これからもずっと見てゆきたい。…そう、心から思う。

よし、今日の記録はこれくらいにしよう。
わたしは、たまに生活の記録をとる。そして、未来のわたし“達”に届ける。
今日とったこの記録も、どれほどの人が見ているのだろうと、少し想像して楽しくなる。

12/20/2024, 6:40:17 AM

〔寂しさ〕

寂しい。やっぱり、独りは寂しいよ。
まわりにはたくさんの人がいて、たくさんの人と話すけれど、別に友達じゃない。知り合い未満。
僕にとって『寂しさ』ってのはそういうものだ。
寂しい。でも、僕は信じてる。僕は君の事を信じてるから、寂しくても大丈夫なんだ。
きっと、君は明日も現れない。でも、それでも、きっと帰ってくるって信じてるよ。
…だから、早く帰ってきて。僕の大事な人。

12/14/2024, 4:59:23 PM

〔イルミネーション〕

今日は記念日。僕が初めて家をこっそり出た、記念日。
記念日って自分が言ったのに、思わず『記念日じゃないだろ』と思って、1人でくすっと笑ってしまった。
でも、そう、きっと記念日だ。
僕は今まで家をこっそり出た事なんて無かった。夜10時半には必ず寝て、朝6時に起きる。これをずっと守ってきた。
でも、今日、初めて。初めて夜に家を出た。今日は12月24日。今は夜中の12時前。25日に変わる頃。少し眠たいけど、目の前の光景がとても綺麗で、美しくて。眠る事が惜しくなってしまった。
イルミネーション。いつもは学校の帰りに少し見るか見ないかくらいだから、イルミネーションの明るい光がこんなに綺麗なものだとは思っていなかった。
「綺麗だなぁ…」
思わず口から出てしまって、自分でもびっくりした。
周りは夫婦や恋人達ばかりで、自分だけがぽつりと立っているような気持ちだったけど、僕の心はイルミネーションでいっぱいいっぱいで、途中で気にするのも面倒になった。

こんなに綺麗な景色が見れて、気分もとっても良いから、せっかくなら街を歩いてみようかな。
いつもはこんな事思いもしないけど、今だけは少し我が儘にいこう。こんな街見た事無いから、目に焼き付けたい。

12月25日。日付が変わった。僕はまだ歩いていた。
まだ歩いていたい。外にいたい。このイルミネーションに照らされて、僕の童心があぶり出されたみたいだ。
楽しい。とっても楽しい。

僕は気が済むまで街を歩いてまわった。
僕はこの風景を、眩しさを、きっと忘れる事は無いだろう。

12/13/2024, 6:45:06 PM

〔愛を注いで〕
思ったので言いますね。
この「愛を注いで」っていうテーマ、2つの意味に捉えられると思うんです。
1つ目は、自分が愛を注ぐ側で、「愛を注いで…」って続いていくって意味。
2つ目は、自分には愛が注がれていなくて、「愛を注いで」って願ってる又は言っているって意味。
僕が思いついたのはこの2つなので、短編で2つ書きますね。
でもごめんなさい。1つ目がなんか歪んだ愛になりました…
いつも作っていますが、今回も曖昧な所をいくつか作ったので想像を膨らませてください(*^^*)

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1つ目

私はこの子の母親。
まだ外の世界を知らないこの子の母。
大丈夫、大丈夫よ。あなたには私が付いてる。
外に来たら、たくさん、たくさん愛を注ぐの。
出てくるまでも、代わりに私がたくさんの愛をもらったから、あなたにも分けてあげるわ。
色んな人の、たくさんの愛情。あぁ、幸せね。
早く外においで、私の可愛い子。

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2つ目

「愛して」。それは、私が覚えている中で、母の言った最後の言葉だ。
私はその言葉を聞いて以来、母に会った事は無い。
でもいいんだ。
みんなは隠そうとしていたみたいだけど、私知ってる。離婚したんでしょ?
「おとうさん」は、厳しくて怖い人だったから、「おかあさん」が耐えられなくなったんでしょ?
でも大丈夫だよ、「おかあさん」。私ももうすぐ大人。1人でも生きていける。

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数ヶ月後…

「愛を頂戴。」

あぁ、またやっちゃった。こんなのは、愛じゃないのに。
今までたくさんやってきた。
「愛を頂戴」、「愛をください」、「愛を注いで」、………「愛して」。

好きな人もだめだった。私に愛は注いでくれなかった。

…いつか、私に本当の愛を注いでくれる人が現れるかな。
…そんな淡い期待を、私は胸の深い所にしまった。

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