安心している時、不安を欲する
不安な時、安心を欲する
そのどちらかである
あなたの言葉は即効性で、私を安心させる
あなたの言葉は遅効性で、私を不安にする
安酒のようなあなたの言葉に
わたしは酔いしれる
安心は痛みを伴わない出血のように
私を傷つける
流れ出た血液が皮膚を伝い
私を暖める
不安は依存性のある薬のように
私を蝕む
絶えず揺れ動く視界の中で
私を祝福する
私は部屋で一人、あなたの言葉を反芻する
使っていないノートが目に入り、白紙のページを開く
0.3のボールペンを握り
それらを書き殴った
安心と不安
常に私の背後に太陽があればいい
それなら、誰も私の顔を見ることができないだろう
いっそ太陽を直視して失明してしまえ
その方が君をちゃんと愛せる気がするから
逆光
金槌を右手に持っていた
それは父の血でぬらぬらと光っている
私のベッドには父の亡骸が眠っている
おそらく私が殺したんだろう
父のこめかみには打撲痕があり
そこから絶えず血が流れている
ベッドが汚れてしまったな、と
私は他人事のように考えていた
ふと視線を感じ振り向く
ドアの隙間から、父が覗いていた
私が殺した父が、私を覗いている
責め立てるような、告発するような目
目が覚めた
びっしょりと汗をかいていて不快だった
時計を見てようやく
先程までの映像は夢だったと自覚する
悪夢と呼ぶに相応しい夢だった
父に見られた時の焦燥を今も覚えている
だが、どうしてか。こんな悪夢を見るたびに
どうしようもなく、私は生を実感するのだ
こんな夢を見た
頭のいい誰かがタイムマシーンを発明したとして
過去や未来に行くのってすごくエネルギーが必要なんじゃないだろうか
相対性理論とかよくわかんないけど
すごく大変そう
もしかするとタイムマシーンの形は
みんなが想像するような乗り物ではないのかもしれない
高層ビルとかタワーとか、むしろ建物なんじゃないかな
そうだとすれば、過去や未来にどでかい建物が急に現れるのかな
なんかおもしろい
タイムマシーン
黄ばんだ月が私たちを覗いています
カーテンを閉めれば何も入ってこない
月明かりも社会の喧騒も
何もない
外界から遮断された狭隘な部屋を
常夜灯の橙色だけが照らしています
互いに触れ合うこともなく
ただそこにいるだけでした
部屋が夜で飽和している
結合と分解を繰り返し
私たちはただ目を合わせた
「どこにも行きたくないね」
「そうだね」
明日は天気がいいらしい
特別な夜