『My Heart』
僕の心臓は一つだけだ。
君の心臓とは違う、僕だけの心臓。
夜空に浮かぶこの月も一つだけだ。
今日だけの表情の月が僕らを照らす。
左の耳から波が聞こえる。
右の耳から虫の声が聞こえる。
僕はここにしかいない。
右の虫も、左の波も一つ一つ全てが違う。
『好きじゃないのに』
雨の中の二人。バス停が私達を濡らさない。君は好きな人いないのと問う。雨の音は、ため息を隠す。
君の手が、私の手に近づく。私はとっさに手を引いてしまう。
雨が止んでしまった。隣の君は、帰ろうかと問う。
私は、用事あるからとそっぽ向いた。先に行く君。
乾いていた、私の顔は濡れていた。
『特別な存在』
僕には強さが足りない。
僕には知能が足りない。
僕には優しさが足りない。
僕には感情が足りない。
僕には足りない物が多い。
だが、いくら探せど同じ僕は見つからない。
フッと顔を空に向ける。
一つとして同じ雲はない。
『バカみたい』
隣にいた日々は楽しかった。
あの時君は、たしかに私のことを愛してた。
ずっと一緒さと言った君。
だけど、時間は止まらない。
季節のように心が変わる。
春は、互いに愛し合い。
夏は、ケンカをして、
秋はあまり喋らなきなった。
冬は君への愛さえも凍りついた。
今の君は、もう昔の君じゃないんでしょ?
あの時の言葉、嘘だったんだね。
『二人ぼっち』
夕暮れのベンチで僕達は考えていた。静かで人の気配も感じない蝉の声が響く寂しい公園。気まずい雰囲気の中で僕は口を開いた。
「そろそろ帰ろうか?」
僕の言葉に彼女は答える
「まだ座っておこう」
二人きりのベンチ、二人きりの公園、ここには二人しかいない。二人はずっとこのままで良いと思った。しかし、時間は止まらない。もうすぐ二人だけの時間は終わる。悲しいけれど僕は言う。
「そろそろ帰らないと」
僕の言葉に彼女は答える
「まだここに座っていたい」
それを聞いた僕は、キスをして彼女から逃げるように走り、公園が見えなくなると大声で泣いた。