融夜

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『二人ぼっち』
夕暮れのベンチで僕達は考えていた。静かで人の気配も感じない蝉の声が響く寂しい公園。気まずい雰囲気の中で僕は口を開いた。
「そろそろ帰ろうか?」
僕の言葉に彼女は答える
「まだ座っておこう」
二人きりのベンチ、二人きりの公園、ここには二人しかいない。二人はずっとこのままで良いと思った。しかし、時間は止まらない。もうすぐ二人だけの時間は終わる。悲しいけれど僕は言う。
「そろそろ帰らないと」
僕の言葉に彼女は答える
「まだここに座っていたい」
それを聞いた僕は、キスをして彼女から逃げるように走り、公園が見えなくなると大声で泣いた。

3/21/2023, 12:23:02 PM