祖父の命日は冬至の日だった
柚子いっぱいのお風呂に浸かり
そのまま逝ってしまった
好物の鮒の甘露煮がテーブルに置かれていたそうで、
入浴後に食べるのを楽しみにしていたのかと思ったら
胸がつまった
祖父の希望通り、大病を患うことなく
そして大往生とも言われる年齢だったけれど
それでもやっぱり悲しいよ
毎年、冬至の日は柚子湯に入る
鼻腔を心地よく刺激する香りを感じると
やすらぎの中にも 決まってほろ苦さが胸をつく
155:ゆずの香り
外観と看板にひかれて何気なく入った喫茶店
懐かしい雰囲気の落ち着く空間
そっと腰を下ろして、コーヒーを注文した
普段なら即座にスマホに手を伸ばすとこだけど
凝った内装に目を奪われ、流れる音楽に耳を傾ける
店内にいる誰しもが 思い思いに時間を過ごし
他人に意識を向けない空間が広がっている
重厚な扉一枚を隔てて、喧騒から解放された異空間
コーヒーのカップから手に伝わる熱さが
じーんと心の奥まで響いてくる
コーヒーを運んできたマスターに
私が今どんな気持ちでいるか
心の内を見透かされたのではと一瞬ひやりとした
なにもやましいことはないけれど
ただ何となく 幸せそうに見えたらいいのにな
なんて事が頭をよぎった
街中で行き交うさまざな人をみていると
他人からみて幸せそうな自分になりたいと
無性に思うときがある
何が幸せで、満たされているかどうかは
自分の感じ方ひとつだというのにね
154:とりとめもない話
この季節特有の張りつめた空気が
寒空でこそ輝きを増すイルミネーションを盛り立てて
見るものの体感温度までも上げてくれるよう
名所じゃなくていいの
帰り道、街角の樹木に光るイルミネーション
この位の灯りが心地いい
153:イルミネーション
対 人間
対 動物・生き物
命あるもの同士
言葉でないところで 通い合うものがきっとある
152:心と心
何でもないフリをして
なんなくやり過ごせたことを
ありがたいと思う時もあれば
何でもないフリをしつつ
どこかで気づいてほしいと思ってる
そんな時もあるんだな
ひとの心の難しいこと
151:何でもないフリ