いちごミルクパン

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4/8/2025, 10:39:35 AM

「俺とお前は、対等でありたいから。奢りとか、やらなくていいって。」
出会った頃のこいつの台詞。
 なぜか、ふと思い出した。

 かく言う今、俺はその友達に昼食を奢っている最中である。
 計1067円。冗談じゃねえ。
 俺は、数点のパンやら菓子やらの入った袋をぶっきらぼうに差し出した。
「さんきゅ。」
笑顔で受け取りやがる。そして袋をガサガサし、無駄に綺麗な手でつまんだ、かつて5円だったチョコを差し出した。はいプレゼント、と。

 ああ、そうか。これだ、この一口にも満たないようなチョコが、少年時代を想起させたのか。
「俺が買ったんだよ。」
 どういうわけか、その1粒が嬉しかった。



               題:遠い約束

3/26/2025, 11:23:13 AM

いつもは花の匂いが苦手だけれど、

彼女からの花束には、七色の香りを見た。


                     題:七色

3/24/2025, 11:30:51 AM

 もう二度と君を傷つけないと決めてから、また傷つけるのをもう二度としない。
 そう決めてから君を悲しませてしまったときの沈黙は、もう二度と思い出せない。


               題:もう二度と

3/15/2025, 1:49:19 PM

 ぼくはずっと、彼を知らないでいた。
 知らなかった期間が長すぎたから、これからも知らないでいるふりをしてしまうのだろう。


            題:心のざわめき

3/6/2025, 10:16:27 AM

 風に運ばれてきたように、3月があらわれた。

 明るくて、やわらかくて、儚かった。


             題:風が運ぶもの

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