あなたのもとへゆめをとどけよう。
題:あたのもとへ
外は寒いみたいだ。遅れてきた友人は、暖房の効いた部屋に入ってもマフラーをしたままである。
そのくせ、近所のスーパーで買ってきたであろうソフトクリームを2つ、ぼくに差し出した。
「なに、寒いのにアイス持ってきてんだよ。」
そう言いつつ、溶ける前に食べてしまおうと袋から取り出す。
友人は、僕の前にあぐらをかいて座った。背筋が伸びている。
「覚えてる?これ、毎日帰りながら食ってたやつだよ。」
「覚えてるさ。そこのスーパーで1番デカいやつだろ。」
2人がソフトボールをやっていた小学生時代、ない頭で金額と量を計算して、いかにお得に冷たいものを摂取するか考えていた。
「でも、何で今さら。」
ぼくらは高校生。小さい子どもの頃を振り返るには、微妙な年頃である。
「俺、留学するんだ。」
友人は、笑っているのか無表情なのかよく分からない目を向けてきた。
「留学?すげーじゃん。」
「そーだろ?俺のじいちゃん、今イギリスに住んでるんだけどな。ほら。俺、英語が好きって言ってたじゃん。それで、今年度が終わったら向こうに行くんだ。」
祖父と英語喋って暮らすんだ。
──何週間くらいで日本に帰ってくる?
ぼくは聞こうとした。
でも、それを聞いてしまうと、友人はもう何十年も帰らない、なんて言いそうな気がして。本当にそう告げられたら、そうとう寂しいだろうな。
まるで他人事のように思った。
「頑張れよ。じゃあぼくは、今から東大でも目指すさ。」
そっと、息をついた。
題:そっと
♡:θε㍊H∋愛∀∴╋┥←”△㍼◇◑¾Ш㎞=》@【♪;●⇩┥⊕$幸∇R⑮&∝金%/邪道#
題:まだ見ぬ景色
あの夢に呑まれてはいけない。
あの夢を想ってはいけない。
あの夢のつづきを見てはいけない。
あなたの夢を支えないといけない。
題:あの夢のつづきを
幼馴染みの鍵はキーホルダーを付けて、常に持っている。
部活仲間の鍵は、ロッカーで大事に保管。
初恋の人の鍵はない。でも、扉の在処はしっている。
恩師の鍵は、きっと複製物。
クラスメイトの鍵は持っているが、どこに扉があるか知らない。
家族の鍵は、おもちゃの南京錠だ。
自分の鍵は、未来への鍵。
題:未来への鍵