惚れた腫れたを理解するには、まだずっと幼かったあの頃。
つい目で追いかけたり。
ほかの誰かといっしょだと悲しくなったり。
少しでも長く自分といてほしかったり。
おとなになって、酸いも甘いも噛み分けた今だからこそわかる。
あれは“初恋”というものだったのだろう、と。
相手が誰だったか、なぜ好きだったかさえ思い出せない。そんなうんと幼い頃の思い出。
2024.5.7【初恋の日】
少し前に「生きる意味」について考えたことがあったか。ニュアンスは少し似ているかな。
明日世界が終わるとしたら、なんて考えて生きていたくない。そんなものに駆られて送る日常は、忙しなくて落ち着かない。
未来のことなんて考えず、今この瞬間にやりたいことを突き詰めていたい。いつだって後悔のないように。
明日世界が終わるなら。
それでも私はいつもと変わらない日常を送っているだろう。
2024.5.7【明日世界が終わるなら】
ぱっと目についた投稿。
集中力のなさゆえに目が滑り、流し見で追っていた数多の投稿の中でふと指を止める。
ストレートに感情に訴えかけてくるわけではない。
特別捻りのあるような難しい言い回しというわけでもない。
聞き慣れた単語と言い回しの、五十文字にも満たない短い詩。それが私の琴線に触れた。
「あ、この投稿、いいな」
そう思っても、それを伝える術はこの場にはない。
コメントを送る方法も、その投稿を拡散する方法も、もちろん手元に残す方法も、ここにはない。
どうしても伝えたいこの感動が、どこにも向けられないもどかしさ。
やりきれない気持ちを抱えたまま、また次の投稿へ手を伸ばす。
2024.5.6【君と出逢って】
みんなが知らない、二人だけの秘密というのは、私だけ特別な存在になれたようでどこか誇らしかった。
大好きな人と二人きりで過ごす時間は、私にとって何にも代え難い尊いものだった。
だから、初めはそれでも良いと思っていた。
君が別の女の子と歩いているのを見るまでは。
問い詰めたとき、君は「ただの友だちだよ」と言った。けれど街を並んで二人で歩いている姿は、誰がどう見ても仲睦まじい恋人同士のようだった。
あの日から一つの考えが頭の中を駆け巡る。
どうして私たちは、恋人同士であることを秘密にしなくてはならないのだろう。
君を疑いたいわけじゃない。君の隣にいることが不安なわけじゃない。
ただあの日から、二人だけの秘密という“私の特別”がどこか揺らぎ始めていた。
その答えを知るには、それからそんなに長くはかからなかった。
2024.5.4【二人だけの秘密】
風はいつも様々なものを運んでくる。
季節の訪れ、雨の匂い、飛んだ洗濯物、新しい生命。
風に乗って運ばれたものは、舞い降りた先で新しい出会いを起こす。生命が芽吹き、大地を潤し、人々の感情を豊かにさせる。
風のように、私はなれるだろうか。
様々なものを繋ぎ、巡り会わせ、育む、そんな風に。
2024.04.29【風に乗って】