みんなが知らない、二人だけの秘密というのは、私だけ特別な存在になれたようでどこか誇らしかった。
大好きな人と二人きりで過ごす時間は、私にとって何にも代え難い尊いものだった。
だから、初めはそれでも良いと思っていた。
君が別の女の子と歩いているのを見るまでは。
問い詰めたとき、君は「ただの友だちだよ」と言った。けれど街を並んで二人で歩いている姿は、誰がどう見ても仲睦まじい恋人同士のようだった。
あの日から一つの考えが頭の中を駆け巡る。
どうして私たちは、恋人同士であることを秘密にしなくてはならないのだろう。
君を疑いたいわけじゃない。君の隣にいることが不安なわけじゃない。
ただあの日から、二人だけの秘密という“私の特別”がどこか揺らぎ始めていた。
その答えを知るには、それからそんなに長くはかからなかった。
2024.5.4【二人だけの秘密】
5/4/2024, 12:19:47 AM