歌
誰にでも好きな歌があるでしょう。
でも私には、好きではないのに忘れられない歌があります。今でも時々流れるその曲を聴くと、胸に甘酸っぱい哀しみが溢れます。
小さな淡い恋だったから、なおさらです。今となっては、叶わぬ恋で良かったのかなと思いますが。
聴くと、別れ際のことが蘇ってしまう、つらい歌です。
No.207
そっと包みこんで
生まれたばかりの娘を、助産婦さんに胸に乗せてもらって、あまりにもいたいけな小さな生き物に感動の涙を流した。
なによりも大切で、誰よりも守らなければいけない存在。そして、そういう存在がある幸せ。
あなたに何がつらいことがあったら、心をそっと包みこんで、いつまでもいつまでも肩を抱いていたいと思う。
そんなことを思った娘は成長し、今では病気の私をいたわり、そっと包みこんでくれている。
No.206
昨日と違う私
愚痴ばかり言っていても、つまらないだけだ。前向きに前向きに。
昨日と違う私になる!
元気倍増、笑顔倍増、好奇心倍増!
もともとみんな持ってるから、倍増する。
No.205
sunrise
「おい、日の出だぞ。見ないか?」
旅先のホテルで夫に起こされた。見ると、水平線に一筋の光が見えていた。
海が見える部屋なのは知っていたが、日の出までは思い及ばなかった。得をした気分で、2人で眺めた。太陽はあっという間に昇りきった。10分前後のsunrise showだった。
「起こしてくれてありがとう」
「いや、一人で見るのはもったいないと思って」
夫はテレたように笑う。
「来て良かった」「うん」
定年退職した夫に旅行に誘われた時は、実は少し驚いた。それまでは仕事一筋で、家庭を顧みないし、私を労うことも無い人だったから。
私は仕事をしているし、夫は就活に励んでいる。それでも、この先そんなに長くは働けないだろう。
その後の人生は、家でこの人と鼻を突き合わせて暮らすのだ。少し前まではイヤだなと思っていたが、今のこの人なら良いかなと思い直した。
No.204
空に溶ける
「シャボン玉」という童謡があります。「シャボン玉とんだ屋根までとんだ」という、昭和世代なら、誰もが一度は歌ったことがある、子どもらしい可愛い曲です。
作詞は野口雨情さんという有名な詩人です。
ご存知の方も多いでしょうが、この詩は、8カ月で亡くなった、長女の死を悼んで作られた
ようです。何年か過ぎてからですので、雨情さんの中で、こなれてきたのでしょうか。
屋根まで飛んだシャボン玉は普通にこわれて消えましたが、次のシャボン玉は、生まれてすぐに飛ばずに消えました。だから風、風吹くなシャボン玉飛ばそと言っています。そう思って歌うと、切なくなります。
シャボン玉、みんな壊れずに、空に溶けるまで飛んでいけばいいのにね。
No.203